映画探偵室 -2011ページ目

誰も観たことのない映画(2)

シムノン原作の映画〔又はテレビ番組)は実は数多くあちらでは放映〔放送)されているが、日本では今ひとつのようで、映画(DVDもある)になった「旅愁」などは、解説者が原題を間違えてこの小説のことだと言っている位(実は、こちらの原題はLe trainで、シムノンの自伝的な小説)。もちろん、対比して見る事は興味ふかいことだけれど。ついでにあまり気付かれないが、「帰らざる夜明け」というアロンドロンとシモーヌシニョレが出た映画の元の小説は「片道切符」と言う初期純文学の傑作で、カミュの「異邦人」に先駆けた実存小説として、ジッドの賞賛を浴びたことは有名。

誰も観たことのない映画(1)

「パリ急行」、原作:ジョルジュ・シムノン

最初のページとして何がふさわしいか悩んだ末、これを選びました。誰も観た事のない、というのは大げさですが、これは日本未公開だし(ただし、アマゾンからビデオを入手可能)、ブログの名前にも「探偵室」などど付けたことだし。映画のタイトルは、The Paris Express,イギリスの映画で、元の小説の方のタイトルは、L'homme qui regardait passer les trains(汽車を見送る男)です。

 シムノンの初期の傑作でメグレ・シリーズの先駆けとなる警視が登場し、「キース・ポピンガ」という平凡な市民がある日突然不可解な殺人者に変貌したいきさつを追っていきます。(続く)