ひとがた流し/北村 薫
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「いい、あなた、倒れてる人の財布を抜こうとしてるんじゃないのよ。人にはね、付け込んで欲しい時だってあるのよ」
私のことをよく知ってる人がつけこんでくれるとしたら、それはすごくしみじみうれしいことではないかと思う。
「...もし、お前の側に、そういう人がいるんなら、気楽に慰めたりしちゃいけない。そういうことは、本当に心の通じ合った人間にしかできない。言葉がどうこうじゃないよ。気持ちが重なっていたら、そこにいるだけで力になれるもんだよ」
慰めることと力になることはけっこう正反対な気がする。
このことで私には、力になってくれる人がすごくたくさんいたけれど、慰められたことはない、と思う。
やっぱりどう考えてもshちゃんはおせっかいなんかじゃない。