ルーラルアート+ふるいちやすしの日記
 
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Panasonic EVA-1と奥多摩ぶらり

ビデオサロンの連載の為にPanasonic EVA-1をお借りして、

カメラマンの吉田康弘さんと一緒に奥多摩をぶらり撮影してきた。

実にいい日だった。

時間に追われないゆったりした撮影、蕎麦も美味かったし、

吉田さんとのおしゃべりも楽しかったし。

そして何よりこのカメラ、ぐっときちゃった。

まぁ、カメラの詳しいことは次号のビデオサロンを読んでいただくとして、

とっても高性能なこのカメラ。

でも僕にとって大事なのは自分の美意識にどこまで寄り添ってくれるかどうか。

撮りながら自分で気づいたのはやっぱり暗部の繊細な表現ができるかどうかが重要なんだということ。

そこに締まりと繊細さがないと僕は満足できない。

カメラのパラメーターを細かく調整しながらそれを確かめていく。

彩度を落としながらデジタルっぽさがなくなるポイントを見つける。

ここだ!というところで感じるときめきがたまらない。

それがはっきり見えるEVFの性能は抜群。

あと、形と赤いラインもツボにはまった。

僕はR●DやBLA●CK MAG●CKというカメラは

いくら性能が良くても持つ気になれない。

愛着が湧きそうにない。

手に馴染みそうにないもんね。

それって大切なことだと思うんだ。

久しぶりに足がつるほど歩いたけど、

いやぁ、楽しい撮影だったな。

吉田さんが撮ってくれた写真、どれもにやけちゃってるし。

 

さて年末

この季節、総括とか◯大ニュースとか、何かと人を振り返らせようとする。前々から僕を知っている人は分かっているだろうが、僕はそういうのが大嫌い。まず振り返らない。人を笑わせる為の体験談を話す事は嫌いじゃないが、それとこれはちょっと違う。なんか自分の足跡を確認する的な、そういう気分にはとてもなれない。どうせ大した事は起こっちゃいないさ。

そうなんだけどね、振り返っているワケじゃないんだけどね、不思議とここ最近、過去に纏わる事、それも人生の転機とも言える時に纏わる事が立て続けに起こって、強く昔を思い出したりしている。気持ち悪い。ひょっとして死んじゃうのかな?走馬灯って奴か?気持ち悪い!

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一つ目はAllman Brothers Bandのフィルモアイーストのライブ。アメリカサザーンロックの名盤だが、これはフィルモアイーストという伝説のホールで行われた3日間の演奏からベストテイクを選んで二枚組のレコードにまとめた物だった。その3日分の演奏の全曲が収められたBlu-rayオーディオで96kHz/24bitという高音質で発売された物を見つけたのだ。元々のこのレコードはエレキギターを弾き始めた中学生の僕を大きく変えてしまった。ギターってこんなに語れるもんなんだということを知って、そこからブルースにのめり込んでいった。周りのみんながメタルや早弾きに夢中になっている時に、僕はただただ一音入魂の音色を求めていた。お陰でプロになってからも、もちろん今も早弾きは出来ず、結果、ギターリストとしてはパッとせず、早々に作曲家の道を進むことになる。そんな自分にとって大きな意味を持つ名盤が、昔以上の形でこの手に戻ってきたのだ。もちろん未発表のテイクもたくさん入っていて、新しいAllmanに出会う事ができた。

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もう一つは“Piaf”という映画。シャンソン歌手のエディットピアフの伝記映画で、他にも何度か映画化されているが、この1970年頃に作られた物だけはDVD 化もされず、もちろん再上映もされず、ずっと探し、待ち続けてた物。そのBluray がアメリカだけで発売されているのを知人が見つけてくれたのだ。元々ストリートシンガーだったピアフは安定した生活に憧れ、遂に結婚して子供を産んで工場で働き始めるが、ある日、やっぱりストリートへ戻ってしまう。そこで“スズメのように”という歌を歌うこのシーン。これを僕は高校3年の終わりに見てしまう。当時は音楽関係という事で、ギターを作る人になろうとしていたが、このシーンを見て「ああ、やっぱり“関係”じゃダメなんだ。弾かなきゃダメなんだ。」と気付いてしまった。そしてプロギターリストの道を歩き始めることになる。そんな僕にとって重要な映画を40年ぶりに見ることができたのだ。

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ああ、やっぱり気持ち悪い。
次は来年の話でもして、鬼を笑わせることにするか!

映画作りって難しい

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とある映画を見た
とてもダメな映画だった。
10年以上も前の映画だったが
それにしても画面に美しさがなくカメラワークも凡庸で、いわゆるVシネレベルで、演技、構成も主役の人を除いては全てが説明に終始している。
とてもガッカリだった。
なのに最後まで見てしまった。
それは物語のテーマに強く惹かれたからだ。
きっともっと深いものがある筈だ。
そう思って原作を読んでみる事にした。
一般的にはよくあることなんだろうけど、僕にとっては初めてのことだ。
やっぱりとても深みのある素晴らしい作品だった。ある事に対する高いレベルの論理と野性の向き合い。もちろん論理は野性には太刀打ちできない。それを説明しようとすると、説明という行為自体が論理的なものなので、根本的にズレてしまう。それがこの映画の根本的な間違いだったのだろう。ただ、この長い小説を2時間の映像化するとなると、そりゃぁ大変な事だろう。自分ならどうするだろう?と考えて答えはすぐに明確に出た。が、それは多分観客には理解し難い、多分企画書も通らないようなものになってしまうだろう。

結局、僕はその映画をきっかけに原作を読んでいる訳だし、何より映画として存在している。商業映画としての責任は充分果たしていると言える。それでも僕にはどうしてもダメな映画、映画ってそれじゃあダメとしか思えない。こんな僕だから居場所がないんだろう。生きにくいんだろうと解ってしまっている。この物語を僕が映画化するチャンスはまずないだろう。でも、いつかこの素晴らしい作品を生んだ作家さんに会うことができたなら、この文章を読んでもらい、「これはあの作品の事です。僕なら....」なんてまくしたてるんだろうな(笑)じゃあやってみな、なんて言われたら無茶苦茶のめり込んで、苦しんで、幸せなんだろうな。いやぁ、映画作りってなんて難しくって楽しいものなんだろう!
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映画『千年の糸姫』クラウドファンディング・ラストスパート!

9月になりました。映画「千年の糸姫」劇場公開実現プロジェクトのクラウドファンディングも残すところあと2週間ですが、ここにきてまたたくさんのご支援いただき、本当に幸せです。劇場で見たいと思って下さっているのですね!必ずなんとかします。もう一息、皆様のお力をお貸しください!

今日は宇津輝昭役の山口快士(やまぐちかいじ)の事を書きます。糸姫を含む4人のキーマンはそれぞれ千年前と現代とで全く違う人柄を演じ分けるという難しいものでしたが、中でも彼が演じた宇津輝昭は一千年前は極悪、現代では超温厚なお人好しという180度ではすまないくらいの対照的な人格でした。それを見事に演じきり、違い過ぎて同一人物だと気づかない人もいたほどです。それでも主役は糸姫の二宮芽生。彼は助演という立場です。ところがロンドン・フィルムメーカー国際映画祭で奇跡が起こりました。彼の演技を見た審査員たちが最優秀主演俳優賞にノミネートしてくれたのです。最優秀主演女優の二宮芽生と共にダブルノミネート!これは本当に嬉しく、誇りに思いました。ああ、芝居が伝わった。言葉を超えて伝わったんだと。実は稽古が始まった頃、彼とゆっくり話したことがとても記憶に残っています。彼は今まで受けてきた演出、求められる役者像が僕のそれとは全く違っている事に早々に気づいたと言います。違い過ぎたので争うことをやめたと。そして真っ白な気持ちで僕と向き合ってくれたのです。全く解らない、できない、苦しい、そんな日々が楽しくてたまらないと言ってくれました。元々ブレるつもりは微塵もなかったのですが、その一言で更に強力に彼と、宇津輝昭と向き合えたと確信しています。ロンドンでのノミネートには正直ほっとしました。そうやって信じてくれた演技が認められたのですから、本当に良かったと思います。彼は今も舞台やCMの場で活躍しています。基本的には元の彼のスタイルに戻ったのかもしれませんが、それに少しでもプラスの経験として役立ってくれていることを願っています。10月には彼の劇団、演劇集団SMILE JACKの「ストーブがすっ飛ぶ!!!」という公演があります。ぜひ足をお運び下さい!

 

もう一人、糸が現代でお世話になる千鶴子というお弁当屋さんのおかみさんを演じた深澤千有紀(ふかさわちゆき)も特別な女優でした。千鶴子が糸に向ける愛情はこの物語の中で最もナチュラルで、そして強い物でした。その何気なさとパッションを演じきった彼女は素晴らしかった。撮影中、僕も不覚にも泣いてしまったほどです。かなりのキャリアはあるのでしょうが、彼女も僕のような演出は初めてだったのかもしれません。稽古場で、かなりのやり取りをして理解を深めて言った気がします。それでも本番で見せてくれた彼女の愛情は凄かった。実は日本版のポスターに4人のメインキャスト以外でその姿が写っているのは彼女だけなんです。初めはデザイナーの高橋ケンイチが勝手に載せたのですが、それに僕もすんなり同意しました。いや、むしろ嬉しかった。彼にも深澤の演技は強く響いたのだと思います。9月には彼女の出演する公演、「田園にくちづけ」があります。是非こちらも足をお運びください。

 

特別と言えば僕にとって、この物語にとって、みんな特別です。まだ名前の知れていない役者でも、こんな光る人たちがいるんだと知っていただきたいです。追々、またご紹介して行こうと思います。そう、劇場公開の日が来るまで、追々、だから、お願いします!!!!

映画「千年の糸姫」劇場公開実現プロジェクトのクラウドファンディング

映画「千年の糸姫」劇場公開実現プロジェクト 2

映画「千年の糸姫」劇場公開実現プロジェクトのクラウドファンディングも残すところ一ヶ月を切りました。目標額の10%という途中経過ではありますが、それでも30万という大金をお寄せ戴いた事、本当に感謝しております。できる限りの規模で劇場でご覧戴けますよう、頑張っていきたいと思います。9/15日の締め切りまで、少しでも多くのご支援をいただけますよう、よろしくお願いします。

 

 

 

さて、今回はオーディションと稽古の様子をお伝えします。

これまで様々なプロジェクトでオーディションを行ってきましたが、正直を言うとあまりいい印象は残っていない。型通りの自己紹介とその場で渡されたエチュードをやってもらっても、どうにもテンションが上がらないまま、「結果は追ってご連絡します。」って感じ。だけど今回は全く違っていた。始めにこの物語の概要とそれに込めた思いをしゃべったところまではいつもと同じだったが、その後、すでにほぼ完成に近い状態の台本の中から幾つかのシーンを役をとっかえひっかえやらせてもらう事にした。そしてほぼトップバッターに近いところで出て来たのが後に主演を務める二宮芽生。普通は本読みと変わらないくらいで終わってもいいようなもんだが、彼女の鬼気迫る演技が会場の空気までも一変させた。その後に続く人の全てが、とんでもない頑張りを見せ始めた。中には知った顔もあったのだが、その人でさえ僕が知っている顔とは違う顔を見せ始めた。今から振り返ってみても、次々魅力ある役者達が現れたように思う。それはとても幸せな時間だった。それでも火をつけた二宮芽生の演技はずば抜けていた。スタッフ全員一致で彼女が糸姫の役を勝ち取った。実のところ、彼女にとって、本格的な映画はこれが初めて。ましてや主役になどやったこともない。それだけに期するものがあったのだろうし、変に冷めたオーディションの空気を知らなかったのも良かったのかもしれない。余談だが、同行していた彼女のマネージャーでさえ、そんな彼女の演技を見た事がないと、号泣していたくらいだ。とにかくこの芝居のスタートを非常にレベルの高いところからにしてくれたのは間違いなく彼女で、それはその後の稽古にまで続いてゆくことになる。本当に感謝している。

 

 

実は普通の映画製作では稽古というのはあまりないことが多い。これがとても不満だ。だから僕はどんな小さな作品でも必ずたっぷり稽古する。そこで役者たちと多くを語り、最初は僕のイメージを細かく伝えていく事が多いのだが、それを相手役も一緒に丁寧に言葉と心を繋げていく内に、その人格がフッと役者に宿り、彼女達のものになる瞬間を迎える。この瞬間がたまらなく好きだ。だって、後は観客のような目で役者達の中で育っていくものを見ていられるのだから。オッサン監督の頭では考えつくはずもないリアルな表情が吹き出してくる。できるだけ撮影地の写真を見せたり、製作中の衣裳を一緒に見に行ったりしてみんなが育つのを手助けする。ただ舞台作品と違うのは通し稽古は必要ないということだ。本番は現場のカメラの前で一回できればいいのだ。だから段取りや位置関係の事をきにしないで、ただただその言葉と心を掘り下げることができる。このような稽古はベテランでもなかなか経験した事がないと言っていた。そして苦しいけど楽しいとも言ってくれた。これが僕のやり方なのだが、それを受け入れてくれた役者達には本当に感謝している。僕はその時から役者達を本名では呼ばず、必ず役名で呼ぶ。だって目の前にいるのは、例えば二宮芽生ではなく、完全に心を宿した糸姫なのだから。

 

 

こんな幸せなやり方はメジャー作品ではなかなかできないことなんじゃないだろうか。だから演技には自身がある。だからこそ劇場で観ていただきたい。頑張ります!そしてご支援よろしくお願いします!

 

【予告編】

 

 

 

 

 

 

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