奈良・平安時代は梓弓(あずさゆみ)の弦をかき鳴らして悪霊を追い払いました。

戦国時代、川中島合戦の頃は戦場で太鼓を打ち鳴らして

士気を鼓舞するとともに、悪い気を払おうとしました。

 

 上杉謙信が天正4年に七尾城を攻略し、更に奥能登に攻め込み、

名舟村を攻めようとした時のことです。

 小さな村の村人たちが農具で立ち向かおうとしても所詮無理な話。

長老が村人たちに、木の皮で鬼の面を作ってかぶり、海藻を頭に乗せて

太鼓を打ち鳴らして軍勢を追い払うよう知恵を授けました。

 

 上杉軍は鬼の異様な姿と太鼓の音に驚き慌てふためいて退散し、

村の安全は守られました。

 この鬼太鼓は「御陣乗太鼓(ごじんじょうだいこ)」と言われ、

輪島市指定文化財、石川県指定無形文化財に制定されています。

 

 私は能登に宿泊した夜、この太鼓のパフォーマンスを見学しました。

太鼓の音は大きく、お腹の底まで響き、またお面は夜の照明の中で怖さを増しました。

 上杉軍が逃げ出したのも頷けました。

 

 もう一つ、鬼と太鼓というと佐渡に伝わる「鬼太鼓(おんでこ)」があります。

鬼太鼓の系統は5つほどありますが、その中で悪い獅子を鬼が追い払う悪魔祓い

があります。

  音で悪い物を追い払う考え方は英語にもあります。

KNOCK  ON  (TOUCH ) WOODです。

 文字どおり、木を叩いて音を出し(木に触れて)、悪いことが起きませんように

 というおまじないです。

 日本語と英語、表現は違っていても、

「音を出して悪い物を追い払う」という考え方は同じなのが面白いです。

 

 木で音を出しておまじないするのなら、「交通安全」にも効きますよ。

出発前に木片2つ(そこら辺にある小枝とか木の箱を適当な大きさに割ったものとか

カマボコの板とか木であれば可)をカンカンと2回打ち鳴らして、事故に遭いませんようにと

気を引き締めてクルマをスタートさせます。

 木には生命がありますから、木の気を借りましょう。

 

 音→響き→エネルギーなんですね。

このエネルギーが悪を退散させてくれるのでしょうね。