すまいのレシピ【すまレピ】 上海便り -2ページ目

すまいのレシピ【すまレピ】 上海便り

【中国】上海より最新のインテリア、インテリアアイテム、インテリアコーディネートから上海の日常まで、様々な情報を現地特派員がお届けします♪

先日、京劇の厳慶谷さんの講演を見に行きました!

 

今年は、厳さんの道化役が主役となる演目を1年通してシリーズ化するプロジェクトがあり、

その一つが、この‘佛手橘’。

 

 

佛手橘は、ベルガモット精油の原料にもなっていて、

中医では気道への効能があるとされ、アールグレイの香りがするそうです。

 

あらすじは、南宋の時代、皇帝が病気なり、その薬を求める為に、南宋の武官が

北国の金の皇帝に‘佛手橘’を分けて貰えないかと訪ねに行きますが、捕まってしまいます。

時を同じくして、南宋の元帥が夢占い師と酒食を共にしている時、神出鬼没の盗賊

‘半突飛’こと、邱小義に銀の壷を盗まれてしまいます。

その盗みのテクニックを見込んだ元帥は、盗賊:邱小義に、金国に出向いて武官の救出と

‘佛手橘’を盗んできて欲しいと頼みます。

それに、武官のお嬢様と、元帥のご子息が同行して、見事、武官を救出して‘佛手橘’を

手に入れて戻ってきます!

 

 

厳さん演じる盗賊:邱小義は、小さい頃に親を亡くし盗賊として生きてきたのですが、

一流の盗賊に成長し、なかなか粋で身軽でカッコいいのです!

軽ーく実務をさっとこなし失敗がなく、若い人達のやる気や成長を見守ったりする

なんだか現在でも通じるデキる人なのです。

 

2時間半くらいの長丁場ですが、時間を忘れるほど軽めのタッチでおもしろく、

終演後は心が軽くなったようなさわやかな印象でした。

厳さんの目指す京劇の新しい一つの形は、もしかすると、

スーパー歌舞伎ならぬスーパー京劇なのかもしれません。

猫と羊肉の誘惑を断ち切ると、

夜中でも煌々と明るい看板‘全家’が見えてきます。

 

全家とは、上海に絶賛展開中のコンビニ、ファミリーマートのこと。

日に日に品揃えがよくなっていくので、いちいち見つけてはちょっとした幸福感に浸ります。

 

ある夜、顔なじみになった店員さんが何か言いたげな顔、でも言えない感じ。

なにかあるのかな・・・と思いきや、

翌日朝、いきなり店舗撤去工事が始まっているではないですか!

私の生活を支えていたコンビ二がなくなる!このショックは想定以上に大きい。

 

今の上海はどこもかしこも区画整理中で、

小さな違法建築らしき店舗はどんどん撤去され、

家賃は天井知らずで上がっていて、負担に耐え切れないお店も退店していきます。

そうして上層階が住居かオフィス、1Fの下駄履きが小さな地元のお店という、

従来の街並みがどんどんなくなっていきます・・・

 

ああ、ついに全家もなんらかの理由で退店か・・。

 

こうなったら心機一転、近くに新しくできた自然派食品店で買い物をして、

自炊して健康的な生活を送ろう、とやっと決心を固め始めたところ、

全家は、退店ではなく、改装工事中であることが分かりました。

 

 

自然派食品店っぽい

 

そして、生まれ変わってきれいになった‘全家’。

 

 

なじみの店員さんも戻ってきました。イートインを充実させて、カフェのように

休憩できるエリアが増床。カウンターも長くなり、おでんやコーヒーなどの

カウンター販売品目も増えました。

そしてこれまでに増して繁盛している様子。

 

そうなると、あの必死の決意はどこへやら・・すっかり全家生活に戻った私でした。

猫タワーのブティックから歩くことほんの少し、

今度は新疆(しんきょう)ウイグル族が営む新疆料理店の前に

またまた小さな人だかりが見えてきます。

とにかく人は多いのです。

 

ほんわかした暖かい色の外灯のなかで、

串刺しの羊肉(ヤンロウ)を店先の炭火で次から次へと焼いていて、

独特の少し酸っぱいような香ばしい匂いが漂う中、

焼き上がり待ちの人々がのんびり談笑しています。

 

 

お店のスタッフは、西洋と東洋を混ぜたなんとも言えない深みのある顔つきで、

一見怖そうな目つきのおじさんと、超級のイケメンさんもいたりします。

頭にちょこんとした帽子を被っている回教徒(イスラム教徒)です。

 

一回でも立ち寄ると毎日立ち寄らなければとなりそうで

目が合わないように足早に通り過ぎますが、

実は本当は・・立ち寄りたい!!

この串刺しの羊肉(ヤンロウ)、身体が温まって実に美味しく栄養もあるのです。

ただ、一口食べると、羊に身体が乗っ取られたみたいな匂いと味が強く残るので、

時と場合によるわけです。深夜はちょっと・・ね。

 

私の小さな夢の一つは、彼らの故郷、新疆ウイグル自治区に行くこと。

広大な草原と砂漠の中のシルクロードを馬に乗って駆け抜けてみたいのです。

オフィスからの夜の帰り道、といっても自宅まで歩いて5分程度なのですが、

それでもいくつかの小さな寄り道スポットがあります。

 

先ずはオフィスの建物を出てすぐ横の地元ブティック。

ガラス張りの小さなショーウインドウの中に猫タワーがあって、

英短乳色藍猫(ブリティッシュショートヘア)という灰色の子猫がいっぱいいるんです!!

 

 

いつもちょっとした人だかりです。

ブティック店主は猫ブリーダーでもあるんですね。

上海はペットブームでヨーロッパ系の濃い顔の猫と犬をたくさんみかけます。

 

お母さん猫は、きれいな灰色の短い毛並み、まんまるな顔に金色の光る目。

まるまる太った巨体にがっちりとした太い手足を持っていて、

気品は半端ないもののふてぶてしいヒールな感じ。

最初は可愛げのない猫・・・と思っていたのですが、だんだんこの風情が病みつきに。

毎日夜に通りかかっては熱く熱く見つめているのですが、ずっと無視・・されています・・

 

 

この灰色の子猫を連れて帰りたい---------という欲求と戦う毎夜。

ほとんど家にいないので、連れて帰ったら可哀想だ!と、

もう一人の私が一生懸命に引き止めます。

 

でもいつか一緒に生活することを夢見て、今夜も立ち止まって見つめています。

今回の重慶出張では午後に時間が取れたので、

気になっていた吊脚楼建築の洪崖洞(ホンヤートン)に行くことにしました。

 

吊脚楼建築とは、四川省の古来からの建築様式で、

崖などの斜面に柱を突き立てて平坦な床を作り、その上に建物を建てます。

山・深い谷・その下は大きな河という劇的な地形を持つ重慶では、

こんな感じで縦横無尽に建物が建ち、

この洪崖洞は、‘千と千尋の神隠し’の温泉宿のような(多くの人がそう思うらしい)、

なんとも奇妙ながら情緒のある建物となっています。

 

 

建物の中は、おみやげ物屋さんや飲食店などで多くの人で賑わっていて、

 

 

展望階である11階まで行ってみると・・なんとそこに車が駐車・・・?

 

 

屋上駐車場?と思いきや、驚いた!、建物の横は道路になっていて、

車がびゅんびゅん行き交っています。

11階分の高低差!ここまでとは!

このあますことなく地形を活かしきる貪欲さに、なにやら感動を覚えたのでした。

 

輸送の便利な川岸に多くの人口が住むとなると、自然とこうなっていったのでしょう。

重慶人曰く、直下型の地震はほぼないそうで、だからこその建築なのかもしれません。

 

 

この洪崖洞、夜景もとても特徴的とのこと、今度は夜に訪れることにしましょう。