読み易くサラサラ読み終えた。登場人物が少なく、犯人の目星が割りと早い段階で想像がつく。後半の、あくまで経済学に寄り添って状況証拠を集めて突き詰めていく伏見の姿勢には楽しめたが。製薬業界の裏話としても面白かったが、社長の息子がそんな無理しないだろう!とか、そんなにあっさり三角関係にならないだろう!とか経済学以外の人間性の展開には突っ込みどころがあるが、人の折り重なる物語を経済学で語っていく手法は新鮮かな。

★★★☆☆

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大手製薬会社・向山製薬の研究員、三浦陽介の死体が自宅で発見された。警察は当初、事件性も疑って捜査した。なぜなら、「研究所の人間が人体実験をしている」と告発する怪文書が研究所内で発見されていたからだ。だが、1ヵ月経っても三浦と怪文書は結び付かず、アレルギー発作によるショック死と断定、事件性はないと判断された。その2週間後、経済学捜査員・伏見真守が向山製薬を訪れた。伏見は警察の見解を覆すように、三浦の死に他殺の可能性があることを示唆した。そして、三浦が所属していた「希少疾病第二部門」の研究員に向かって、全員を容疑者として扱うと宣言したのだった……。

エウレカ