井上荒野についてはこれで3冊目。肩が凝らない小説だが、ちょっと3冊目にして飽きもきた。その理由は結局お父さん井上光晴から脱皮できていないからかも。まあ連休後にサクサク読むには最適だった。

★★★☆☆

-----------------------------------------------------

各章のはじめに「本日のメニュー」が書き付けられていて、〈鮪のコンフィのパスタ〉や〈仔牛(こうし)のカツレツ〉などと〈罵(ののし)る女〉とか〈不毛な男〉が並べられている。とだけ書くと眉をひそめられそうだけど、そんな比喩も下品とは感じさせない書きっぷりがこの小説の妙味だ。姉と弟が切り盛りする小さな料理店が舞台。シェフの杏二は女たらしで、いろいろな女性をとっかえひっかえ。一方、姉の偲は杏二の師匠である松崎さんに懸想(けそう)しているのだけれど…。

食べること、愛すること。基本的な材料を軽やかに仕立てた物語。

-----------------------------------------------------

姉弟で切り盛りしている目黒の小さなリストランテ。色艶に満ちた皿の数々と、それぞれの事情を抱えたアモーレども(罪深い味わいに満ちた男と女)を描く幸福な物語。

リストランテアモーレ