言葉を選んで選んで書いたのは良くわかるし、自然描写も素晴らしいが、内容が暗く、一人称で描かれる男にまったくもって共感できず、本は厚いし重たいし展開もさして変わらずシンドかった。

かいつまむと、過去、家族を不幸な形で亡くした定年退職者の男が病を機に故郷へ帰り、人生を振り返って葛藤していく様子が描かれている。隠れていた狂気を匂わすには充分過ぎて、まさに風村の山々を汗だくになりながら登っていくが如く終わりが見えない。それでも主人公や、その家族達の心情にリンクしようとしたが徒労に終わった。読む人に忍耐力が必要な本だった。

★★☆☆☆

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勤め人という呪縛から解放されすべてを棄てた男は故郷に戻る。妹を惨殺され、母が自殺し、弟が人を殺め失踪した因縁の地へ。丸山文学の最高峰、全面改稿の完全版ついに刊行!

ぶっぽうそうの夜