これは面白かった。尖閣諸島が中国に乗っ取られ、女性総理が誕生した状況という設定。グロテスクな描写から始まって、自衛隊、警察、政治とスケールが大きくなる、総理暗殺という思った以上に壮大なテーマこの陰謀のために知らず知らずのうちにオズワルド役へと誘導されてしまう佐々岡。とある男性の拉致事件を追ううちにこの陰謀に近づいていく刑事の大治郎と嘉子。暗殺は防げなかったものの、犯人に仕立て上げられた佐々岡の脱出劇や大治郎たちの粘り強い捜査、ときどき挟まれる大治郎と娘の掛け合いや大治郎と嘉子のやり取りががホッとさせる。でもなんだか黒幕の謎が解けた気がしなかったし、決して解決したわけじゃないところにもモヤモヤ感が残ったけど、一気読みした。

★★★★☆

----------------------------------------

奥多摩山中で、両耳と鼻を削ぎ落とされた男が発見された。警視庁刑事・荻大治郎は、必死に事件に食らいつく。だが事態は、ある“極秘文書”の行方とからみ、日本の政治家やスパイ、ホワイトハウス、元自衛隊の狙撃手までを巻き込んで、激しく、熱く、焦げ臭くなっていく。1億3000万人の日本国民が凍りつく歴史的テロ事件が起きようとしている。それを未然に防ぐことは出来るのか―。気鋭のミステリ作家が放つ謀略小説。渾身の書き下ろし690枚!!

工作名カサンドラ