今夜放送されたフィギュアスケート世界選手権男子SP羽生君の美しい完璧な演技とは全く対極にある

生理的嫌悪感の強い強烈な短篇集。冒頭の「行列」から何じゃこりゃ。タイトル作の「虚ろまんてぃっく」は最初は読みにくいが、最後の盛り上がりが凄い。「夏の友」は著者の経験かな?。終末小説かと思って読んでいたら、あっと驚かされたのが「歯車の音」。「大穴(ダイアナ)」は性欲しかないわがままな小説家の話。最大の問題作は「家族ゼリー」、冒頭の木村うんぬんからは想像も出来ない状況が徐々に深くなっていく、恐ろしくグロテスクだが、全部を一気に読んでしまった。損したなぁと思いながらも。これは恐るべき短編小説だ。

★★★☆☆

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吉村氏の2005年以降の10の短篇・中篇を一挙収録した作品集。シュールな近未来ものあり、不条理な家族小説あり、不気味で、不穏で、グロテスク、吹き荒れる嵐のように暴走する想像力が、読者を真実の深淵へといざなう。鬼才の筆が炸裂する、圧倒的作品集。

うつろ