金融の入門書でもあり、沖縄離島の観光案内でもあり、伝統紹介でもあり、暴力団もからむのでちょっとハードボイルド的なテイストもあり、最初はムムム?と思ったけどだんだん面白くなってきて、最後はハラハラする捕物劇までそれなりに読めました。
銀行が融資とマネロンで膨らんでいくからくりや、金融庁の内部の話、新興銀行の実態や、沖縄離島の造り酒屋の苦闘、綺麗な島、島の人々の結束。ハッピーエンドっぽい終わりかたではあるが、もうちょっと工夫があっても良かったのにという後味でした。
★★★★☆
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中小企業を餌食にして拡大を続ける銀行・JIB。その死命を制するデータを手に、男は伝説に彩られた沖縄の離島へ逃亡した。必死に男のあとを追うJIB幹部と、結託する凶悪な暴力団。金融庁長官の密命を受けて、捜査官・伊地知耕介も島に向かう。はたして男を救うことはできるのか。極秘のデータとは。静寂な島が修羅場と化していく―経済小説の名手が渾身の筆で描く極限の金融サスペンス!
鬼忘島