今週はこれ!日経新聞に去年の5月まで連載されていたので、ご記憶の方も多いと思いますが、新聞小説なので、次はどうなる!が短い間隔で展開されるので飽きない。
この作者の医療小説はとても安心して読める。
僕の嫌いな官僚の嫌いである部分も良く描かれていてフムフムという感じ。
ただし人間関係の設定がいかにも「小説ですから」で、東子たちの前に立ちはだかる審議官の一人が、交通事故で死んだといわれていた東子の実の父大倉(死んだ母は大倉と不倫関係で東子は非嫡子)だったり、終盤で再婚した元夫の拓馬が中学生になった東子との娘絵里香の移植手術の依頼に来るといった現実では「無い、無い、絶対無い」関係性だが、モノガタリとしては面白い。
場所が東北で、初めが2008年なので、大震災でどうなるかという興味もあって先を読むのが楽しみだった。
臓器移植(主に本作では腎臓移植)の小説は人間模様もハッキリ描けるせいか「ハズレ」が無い気がする。

★★★★☆
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自らの過ちが招いた家族との別離。生きる望みを失った女性医師が流れ着いた東北の病院で目にしたのは、卓抜な技術を持つ医師たちによる、禁断の手術だった。なぜ人は病気の腎臓を移植してまで生きねばならないのか?3・11により、一瞬にして懐かしい人々の命が奪われる過酷な体験を経て、その意味は次第に明かされる…。日経連載時に大きな反響を呼んだ、医療小説の新たな傑作!
禁断のスカルペル