2017年のレビュー書き込み第1号は、昨年香取慎吾が犯人役で映像化されたもの。終盤には誰がどのようにという状況が読めてしまうし、「感動と慟哭のラスト」では無かったけれど、問題提起作品としては成功しているように思う。章ごとに語り主が変わるので最後まで飽きることはないし、中だるみもないし時系列なので読みやすさは抜群。日本国の負債、アメリカ同盟国としての在り方など誘拐犯の主張に同調できる部分が多いのも良かった。実際にこんな勇気と正義感と行動力のある若者がいたらいいのにと思わせる、スカッとはしないが、よくぞ書いてくれたという内容だった。

★★★★☆

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日本政府に突きつけられた驚愕の要求―。「元副総理の孫を誘拐した。財政赤字と同額の一〇八五兆円を支払うか、さもなくば、巨額財政赤字を招いた責任を公式に謝罪し、速やかに具体的再建案を示せ」。前代未聞の要求にマスコミは騒然。警視庁は捜査一課特殊犯係を直ちに派遣し、国家の威信をかけた大捜査網を展開する。やがて捜査陣は、あるブログの存在に行き着くが…。感動と慟哭のラストが待ち受ける“憂国”誘拐サスペンス巨編!2014年第12回『このミステリーがすごい!』大賞大賞受賞作。