お正月の気分を吹き飛ばすちょっと重たい内容。

「無戸籍」がテーマ。失踪した父親の生い立ちと、父を探す娘の行動が交互に描かれて、様々な謎が解き明かされて真相に迫っていく。

会話文が多く読みやすかった。

娘の香といとこの響子がナイスコンビで行方を捜し始める。父親の行方とともに香自身の秘密も明らかになり父親に隠された謎と無戸籍だった父親の半生が繋がっていく。

法的に存在しないと宣告された男性の過酷で無慈悲な人生、戸籍を買ってもそれは自分ではない氏名と生年月日。無戸籍の問題を改めて考えさせられる読み応えのある内容だった。

総務省のホームページで無戸籍について記載されているので、少しはマシになったのかなと胸をなでおろした。

普通に「住民票」が取れることができない環境におかれる過酷さがヒシヒシ伝わる佳作だった。

★★★★☆

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突然失踪した父。行方を追う娘は、父が25年前の殺人事件の法廷で、被告に有利な証言をしていた事実を知る。真相を求めて父の過去をたどる娘は、「無戸籍」という不条理な境遇に生まれた彼の、あまりにも過酷で無慈悲な人生に向き合う。『代理処罰』で第17回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した著者渾身の書下ろし長編ミステリー!