この作家の作品は似た感じなので「あれっ、これ前読んだかも」と一瞬思うがそんなことはない。これも警察とパチンコ業界、警察と政界の関係、さらには圧倒的で魅力的な暴力カリスマの存在。確かにデジャブ感満載だが、面白くて一気読み。

大小関わらず誰しも経験のある後悔。その後悔が、人の死に関わってしまうものなので小説になる。私利私欲にまみれた政治の世界をまあそんなことはあるまいと思いながらも、そういうこともあるんじゃないと垣間見せてくれる。

常に冷静な感じの元SPの主人公の小津だが、亡き妻の残したレシピを再現するために料理教室に通ったり、警察官時代の上司がパチンコ屋でも上司で頭が上がらなかったりという部分もあるが、僕にはもっともっと「大崎」秘書を掘り下げて欲しかったかな。

★★★☆☆

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電話一本、メール一本入れていたら…。
もうひと言、声を掛けていたら…。多忙な日々に流されてしまって…。
大切な人を亡くした二人の男、大志を閉ざした男、後悔を秘めた三人の男たちがいま、出逢う。