426「アリスのままで」→記憶が消えていく | 映画横丁758番地

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生きているうちに一度は(何度でも)観ておきたい映画について、変幻自在・巧拙緻雑・玉石混淆で書いています。

50歳の現役言語学学者アリスは、ある日言葉をド忘れする

経験をしました。

さらには、熟知しているはずの道で迷子状態に陥ったり、

思わぬ症状に見舞われるようになりました。

診断の結果は「若年性アルツハイマー病」・・・決定的な

治療法も見つかっていない難病です。

その症状が次第に進行していることを自覚したアリスは

重症に陥った時のために、自分のパソコンに、自分向けの

メッセージを残す算段をします。

いよいよの段には、自らがパソコンに向かい、その時に

必要と思われる処置を自らの力で遂げられるための準備

です。

そうした恐怖心にはお構いなく、症状は無情な進行を

みせていきます。

「若年性アルツハイマー病」になった本人、またその彼女を

支えるべき家族や友人には、どんな対応が残されている

ものか?

「記憶の消滅」という現代的を象徴するかのような難病を

扱った重いテーマですが、大変に真摯な描き方になって

いるところが好感です。

こうした病気を扱った作品は多くありますが、ほとんどの

場合、具体的な「結論」を描き切るところまで行くことは

ありません。

「記憶が消滅していく」という難病には、それだけ重く難しい

問題が絡み合っているということなのでしょう。

 

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「アリスのままで」  2014年 監督:リチャード・グラツァー

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アレック・ボールドウィン/ジュリアン・ムーア

 

アリスを演じたのは、本作でアカデミー主演女優賞に輝いた

ジュリアン・ムーア/

ちなみに、この年の同男優賞を獲得したのが、

2014年「博士と彼女のセオリー」(監督:ジェームズ・マーシュ)で

主人公であるスティーヴン・ホーキング博士を演じた

エディ・レッドメイン/でした。

ジュリアンは「アルツハイマー」、エディは「ALS(筋委縮性側索硬化症)」、

奇しくも両者ともに「難病患者」を演じることで大きな栄誉を

得たことになります。

アリスの夫役は、

1990年「レッド・オクトーバーを追え」(監督:ジョン・マクティアナン)の

ジャック・ライアン役で注目されたアレック・ボールド・ウィン/

近年ますます「体重増」の印象が強くなっています。

 

監督は、リチャード・グラツァーという人だそうですが、

実はこの方も本作の企画があがった当時には

ホーキング博士と同じ病「ALS(筋委縮性側索硬化症)」を

悪化させていたとのことで、ワッシュ・ウェストモアランドと

いう人のサポートを得て、やっとのこと完成までこぎつけたそうです。

(二人の共同監督ということかもしれません。)

 

さて、そのグラツァー監督は、この年のアカデミー賞授賞式の

2日前に吸不全を起こして、病院に運び込まれたそうですが、

その病室で共同監督?のウエストモアランド氏と共に授賞式を

無事視聴することができました。

しかし、その後まもなく(約3週間後)の、2015年3月10日に

ロサンゼルスの病院で息を引き取ったとされています。

生年は1952年1月28日とされていますから満63歳・・・

今の時代、少し早すぎるような気もするところです。

 

 

アンティークな作品が多くて恐縮至極にございます。

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