本作は原題が『Hidden Figures』で、邦題が『ドリーム』と
なっていますが、原作本の邦題としては、
『ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち』が
採用されています。
日本語オンリー日本人である筆者には、意味合いが分かりやすく、
また、ほのかに「縁の下の力持ち」もどきのニュアンスも
感じられるという点で、原作本の邦題が一番シックリして
いるように感じられます。
物語の舞台はちょっと古くて1961年のアメリカ南部。
まだ依然として白人と有色人種の分離政策が行われていた時代で
あり、そんな社会環境があったところへ、ソ連の人工衛星
スプートニク打ち上げ成功のニュースが伝わります。
それを受けたアメリカ国内では、ソ連に宇宙競争への意識が
強くなっていくのですが、そうした中でNASA(アメリカ航空宇宙局)
の研究所で、図らずも女性エンジニアと
して、しかも初の黒人として働くことになった計算手がいました。
なにせ、「黒人女性」を受け入れたのが初めてなのですから、
本人自身も。また職場自体も戸惑いを隠せません。
しかし、彼女の能力、奮闘ぶりは次第に認めるられるようになり、
そればかりか、上司は大きな期待を寄せるまでになっていく
のでした。
また本作は、米ソ間で勃発した激しい「宇宙開発競争」に
対してアメリカ社会に漂っていた当時の空気にも触れています。
***************************************
「ドリーム」 2016年 監督:セオドア・メルフィ
***************************************
左から)ジャネール・モネイ/
タラジ・P・ヘンソン/オクタヴィア・スペンサー/
出演は、主人公の計算士役に、本作と同様に人種問題に触れた作品、
2019年『ベスト・オブ・エネミーズ ~価値ある戦い~』
(監督:ロビン・ビセル)
でも主人公を演じたタラジ・P・ヘンソン/
その同僚役に、
2011年『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』(監督:テイト・テイラー/)
でAW助演女優賞に輝いたオクタヴィア・スペンサー/
~歌手、作曲家、音楽プロデューサー、女優、モデルである~
Wikipediaにはこのように紹介されているジャネール・モネイ/
NASAの上司役を、
1990年『ダンス・ウィズ・ウルブス』で監督・製作・主演を務め、
AW監督賞を獲得したケヴィン・コスナー/
主人公の再婚相手の役を、
2017年『ムーンライト』(監督:バリー・ジェンキンス/)
2019年『グリーンブック』(監督:ピーター・ファレリー/)
隔年で続け様に二度のAW助演男優賞を獲得したマハーシャラ・アリ/
この他では、計算部所属スタッフの一人に、
2006年『マリー・アントワネット』(監督:ソフィア・コッポラ/)
では主人公マリーを演じていたキルスティン・ダンスト/
監督は、
2014年『ヴィンセントが教えてくれたこと』(出演:ビル・マーレー/ほか)
で監督デビューを果たしたしたセオドア・メルフィ/が務めました。
ちなみに
2021年『ムクドリ』(出演:メリッサ・マッカーシー/ほか)
では、AW監督賞にもノミネートの経験を持つ実力派です。
アンティークな作品が多くて恐縮至極にございます。
にほんブログ村