こんな作品案内がされています。
~アメリカ南部で大農園を営んでいた生家が没落し、夢破れた
ブランチは「欲望」という電車に乗って「墓場」という電車に
乗りかえ、「極楽」という駅に降り立つ~
タイトルの「欲望という名の電車」とは、これを指しています。
そして、その落ちぶれた名家出身の女性が隠していた過去を
暴かれることによって、破滅するまでを描いていますが、こんな
注記も添えられています。
~映画化に際しては多くの自主規制が加えられ、ストーリーも
改変されている~
テネシー・ウィリアムズ/による同名戯曲が原作であり、
映画化に際しては、そのウィリアムズ自身も脚本に参加したそう
ですから、それほど「トンデモな改変」にはなっていないはずです。
では、なにが改変されたのか?
その疑問にも答えています。
~本作品は、性に関していまだ保守的だった当時のアメリカ社会の
倫理観に照らし、同性愛、少年愛、レイプといったきわめて
衝撃的な内容を含んでいた~
そのあたりの表現を意識的に薄めたということなのでしょう。
「LGBTQ」の意識が市民権を得つつある現代からすれば、
確かに保守的な世情だったようで、その意味では隔世の感を
覚えるところです。
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「欲望という名の電車」 1951年 監督:エリア・カザン
年***************************************
マーロン・ブランド/ヴィヴィアン・リー/
荒んだ過去を知られた上に、身近な男に襲われたことで
ついには精神を崩壊させてしまう女性・ブランチ役を
1939年『風と共に去りぬ』(監督:ヴィクター・フレミング/)
と本作で、二度のAW主演女優賞に輝いたヴィヴィアン・リー/
共演は、本作でAW主演男優賞にノミネートされ、一躍世界的な
大スターへ駆け上がっていったマーロン・ブランド/
ちなみに、本作の三年後に製作された、
1954年『波止場』(監督:エリア・カザン/)と
1972年『ゴッドファーザー』(監督:フランシス・フォード・コッポラ/)
で二度のAW主演男優賞を獲得しています。
さらに、仰天ものなのは、
本作に出演したキム・ハンター/とカール・マルデン/がそれぞれに
AW所の助演女優賞と助演男優賞に輝いたことです。
ですから、本作は演技合戦の一作という言い方もできそうです。
監督は、
1947年『紳士協定』(出演:グレゴリー・ペック/ほか)
1954年『波止場』(出演:マーロン・ブランド/ほか)
で二度のAW監督賞に輝いたエリア・カザン/
ただし、1952年頃に吹き荒れた、いわゆる「赤狩り」において、
映画人仲間を「売った」とされ、このことが崋山自身の後の経歴
およびその作風に暗い影を落とすことになりました。
アンティークな作品が多くて恐縮至極にございます。
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