700「欲望という名の電車」→没落し崩壊する女性 | 映画横丁758番地

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生きているうちに一度は(何度でも)観ておきたい映画について、変幻自在・巧拙緻雑・玉石混淆で書いています。

こんな作品案内がされています。

~アメリカ南部で大農園を営んでいた生家が没落し、夢破れた
 ブランチは「欲望」という電車に乗って「墓場」という電車に

 乗りかえ、「極楽」という駅に降り立つ~

 

タイトルの「欲望という名の電車」とは、これを指しています。

そして、その落ちぶれた名家出身の女性が隠していた過去を

暴かれることによって、破滅するまでを描いていますが、こんな

注記も添えられています。

 

~映画化に際しては多くの自主規制が加えられ、ストーリーも

 改変されている~

テネシー・ウィリアムズ/による同名戯曲が原作であり、

映画化に際しては、そのウィリアムズ自身も脚本に参加したそう

ですから、それほど「トンデモな改変」にはなっていないはずです。

 

では、なにが改変されたのか?

その疑問にも答えています。

~本作品は、性に関していまだ保守的だった当時のアメリカ社会の

 倫理観に照らし、同性愛、少年愛、レイプといったきわめて

 衝撃的な内容を含んでいた~

そのあたりの表現を意識的に薄めたということなのでしょう。

 

「LGBTQ」の意識が市民権を得つつある現代からすれば、

確かに保守的な世情だったようで、その意味では隔世の感を

覚えるところです。

 

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「欲望という名の電車」 1951年 監督:エリア・カザン 

年***************************************

 

 マーロン・ブランド/ヴィヴィアン・リー/

 

荒んだ過去を知られた上に、身近な男に襲われたことで

ついには精神を崩壊させてしまう女性・ブランチ役を

1939年『風と共に去りぬ』(監督:ヴィクター・フレミング/)

と本作で、二度のAW主演女優賞に輝いたヴィヴィアン・リー

 

共演は、本作でAW主演男優賞にノミネートされ、一躍世界的な

大スターへ駆け上がっていったマーロン・ブランド

ちなみに、本作の三年後に製作された、

1954年『波止場』(監督:エリア・カザン/)と

1972年『ゴッドファーザー』(監督:フランシス・フォード・コッポラ/)

で二度のAW主演男優賞を獲得しています。

 

さらに、仰天ものなのは、

本作に出演したキム・ハンター/とカール・マルデン/がそれぞれに

AW所の助演女優賞と助演男優賞に輝いたことです。

ですから、本作は演技合戦の一作という言い方もできそうです。

 

 

監督は、

1947年『紳士協定』(出演:グレゴリー・ペック/ほか)

1954年『波止場』(出演:マーロン・ブランド/ほか)

で二度のAW監督賞に輝いたエリア・カザン

 

ただし、1952年頃に吹き荒れた、いわゆる「赤狩り」において、

映画人仲間を「売った」とされ、このことが崋山自身の後の経歴

およびその作風に暗い影を落とすことになりました。

 

アンティークな作品が多くて恐縮至極にございます。

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