秀康殿が殿下のご養子となり、家康殿と朝日姫との婚姻が成立し、私と高姫との婚姻も成立した。
しかし、当の家康殿はまだその重い腰を上げようとはしなかった。
殿下のご生母である大政所様を三河に赴かせる事が決まったのは先月の事である。
表向きは当然、朝日姫を見舞うという理由である。
そして、当然これは人質である。
大政所様を人質に差し出す。
そうすればいかに家康殿といえども大坂に来ざるを得ない。
その目論見は当たった。
大政所様が三河に滞在する間に家康殿は大坂に登城する事が決まった。
そうして行われた会見で、家康殿は殿下に頭を下げた。
ついに徳川が臣従したのだ。
私もその一端を背負ったと思うと嬉しい。
これで、殿下の天下統一が一歩近づいた。