朝鮮軍との戦いは、思った以上に順調に進んでいた。

 先月にはすでに漢城を崩落させ、平壌も先頃無血開城に至ったと聞いている。


 この分では、本当に明国を征圧できるのではないか。

 そのようなことも思ってしまったが、そこまで甘いものでもないだろう。

 明国と朝鮮は全く別の国なのだ。


 殿下は、漢城の崩落を聞くと直ぐに、現地へのご渡航を望んでいた。

 しかし、海を渡る間にもしものことがあれば取り返しのつかない事になる。

 石田治部をはじめ、徳川殿や前田利家殿もこれをお諌めし留めさせた。


 我らはそのかわりとまではいえないが、朝鮮に渡る事になり、とりあえず漢城に入るに至った。

 まず解ったのは、食料が既にないということである。

 何より輸送のための兵站が長すぎるのだ。

 さらには制海権も完全ではない。

 ともかくも、このまま進み続けるわけにはいかないだろう。

 作戦を変えねばなるまい。