太閤殿下によって、入湯のために草津温泉に湯小屋の建設を命じられた。

 昨年より取り掛かっていた伏見城の普請は、我らが向かったときには石垣を積むことぐらいしか残されていないようであった。

 それが終わっての新たな命であるが、果たして殿下は草津まで来られることが出来るのだろうか。

 推測ではあるが、朝鮮との講和がなった後に仰々しく関東に下向するおつもりなのであろう。

 ただ、本当に講和が成り立つのだろうか。

 相変わらず講和派と抗戦派の両方が現地にいる。

 殿下が講和に向け積極的になっている事は良いことなのだが、いかんせんその条件が厳しすぎる。

 講和というより降服に近い。

 私には相手がそれを飲むとは到底思えないのだ。

 仮に上杉が彼の地を支配していたとしたら、絶対に承服しないだろう。

 石田殿や小西殿だってそれは解っていると思うのだが、どうなのだろうか。


 殿下が草津温泉まで来られる日は来るのだろうか。