フィリピンに行って海外ボランティアするツアーもあるそうです。そしてそのために参加者が「参加料」を払うと聞いてびっくりしました。

この「参加料」には、チケット代も宿泊代も含まれるようなのですが、気になるのは参加者からの「寄付金」も「料金」に含まれることです。善意が料金になってしまったら、そして、この善意が業者に集まってから被害者に払われる出演料になってしまったら、それに、ボランティアに来たのにいつの間にか「慈善エンターテインメントショー」の観光見学ツアーになっていたら。

この「観光見学ツアー」という意味は、個人の善意が「積み上がらない」という意味です。ここで、「積み上がらない」ということについて考えてみましょう。

四年前に「国際交流財団」主催の「フィリピンスタディツアー」に参加しましたが、その日程の中にマングローブ植樹があって、マニラ湾の西岸に面したオリオンという町の海岸でマングローブの苗を植えました。

その海岸には、ビニール紐で植樹する範囲が囲ってあって、その中で苗を植えるのです。しかし、そこは干潟とは言ってもマングローブ林の外側で、つまりマニラ湾に何の防御無しに面して、直接外海とつながっている、つまり例えれば普通の海水浴場の海岸に植樹するようなものなのです。

これでは、大波が来ればさらって持って行かれるのは誰が見ても明らかで、台風がやって来たならば全滅するのは目に見えている訳です。これでは最初から苗など育つことは期待していないのは明らかで、それではいったい何のために海外から来たツアー客にわざわざ植樹させるのでしょうか?

商業的「マングローブ植樹ツアー」と言われても仕方なく、この商業ツアーが成り立つためには、過去に植えた苗が直ぐに消去されて、次々と新しい参加者を受け入れられる方が都合良い。一度訪れた参加者が二度とリピーターになることはないのですから。地元はマングローブの苗を売ることで潤います。

しかし、「罪」があるのは業者だけでなくてそういう「ボランティア体験ツアー」を求める日本人側にもあります。例えばフィリピンでは何処にも居る貧困者にボランティアするツアーに参加するでしょうか。目的意識がボランティアでなくて珍しいもの見たさの珍発見ツアーにあるのです。本気でボランティアするなら日本国内でやりきれないくらい見つかるはずです。

そこで提案するのは「積み上がる」ボランティア。その一つは、バンタヤン島「マングローブ植樹ボランティア」です。

写真は、関西からのビジターの小比賀さんが育てているマングローブで、四年間同じ場所に植え続けて、その苗が立派に成長して若木に育った姿を毎年訪れて観察しています。

このように、バンタヤン島のボランティアツアーは、行なったことがちゃんと「積み上がってゆく」ボランティアです。