日本からモンゴルへの投資状況

モンゴル国政府は日本政府と2001年2月15日に「投資協定」を結び、日本からの投資を誘致する法的基盤が整備されたほか、伊藤忠・住友・日商岩井・大 阪カシミア・三菱などが駐在事務所をモンゴルに開いたことが重要な影響を与えました。1990年以降2005年末現在、日本の216の企業が参入し、合計 7,200万ドルの投資が行われました。分野別では、軽工業(39.0%)、商業・飲食業(13.5%)、建築・建築資材(12.5%)、情報通信技術 (12.0%)、輸送(5.3%)、銀行金融(4.2%)、地質・鉱物資源探査・鉱山開発(3.6%)、家畜原料加工(2.6%)、観光(1.5%)、そ の他5.8%です。日本から軽工業分野に2,810万ドルが投資されており、軽工業(ニット・カシミア加工)分野における最大の投資国(36.5
%)であり、また日本から通信部門への860万ドルの投資は、この分野における最大の投資国(48.4%)です。2005年に日本から590万ドルの投資が行なわれましたが、対前年比10%増でした。2006年になって31の企業が登記され、約
400万ドルの投資が行われています。日本の企業家は1990年以降モンゴルに投資を
始めましたが、投資の大部分はニット生産と通信分野でした。
 そのうち携帯電話サービスを初めてモンゴルに導入したモビコム社は、現在、ウランバートル・ダルハン・エルデネトの大都市以外に、多くの県を含む携帯電 話ネットワークを築き、合計45万以上の利用者に地方サービス支店、センター、契約販売店などを通じてサービスを行っています。
 ボヤン・ホールディング社、サンシロウ社はカシミア加工を行っており、生産したウール・カシミア製品は内外の消費者におなじみとなっています。
 モンゴルに投資して事業を行っている外資参入企業が再投資を行っていることは、モンゴルへの投資の可能性やビジネス条件が悪くないことを示しており、外国からの投資を増大させるために重要な意義があります。
 日本の資本が入っているボヤン・ホールディング、モビコム、スルガモンゴル、サンシロウ、JMインターネットモータースなどは、2000 ~2005年までに10万ドル以上を通信・カシミア加工に投資したほか、ゴルフ産業に再投資を行い
ました。
 モンゴルと日本の合弁で、自動車修理整備・販売にかなりいくつもの企業があり、モンニス、ニモンスなどの企業名があげられます。
 日本の投資家は、文化・教育・保健医療分野にも留意し、ソヨルエルデム文化教育大学は外国投資によって創設した初めての外国語大学のひとつです。さらに 科学技術の日モ合弁企業であるモンエンザイム・インターナショナル社は「ミシェール」という名の美容用品を日本市場に出し始めていることを述べておきま しょう。
 日本の資本が入っている多くの企業が観光業を行い、日本の観光客にモンゴルを紹介しています。
 最近では、情報・コンピュータ関連で「グレフシティ」などのモンゴル・日本合弁企業が操業しており、この分野におけるモンゴルの企業も日本のソフトウェア市場に参入しようとしています。
 モンゴル国への最大の支援国は日本であり、ODAの後を追って外国直接投資が行われている一例が、石炭鉱山開発機器(コマツ)が、通常業務やメインテナンスのために日本資本参入のKOMIT社を創設したことです。
 日本からの投資状況を全体的に評価するならば、投資額は増大し、それが具体的にモンゴルの社会・経済の発展に寄与していますが、援助や借款の額と比較するとまだ少ないといえます。