投資環境改善のための構造改革

投資環境改善のための構造改革
 


投資環境を改善するため、ロシア連邦政府はいくつかの構造改革を実現しつつあります。 現在主に、経済に対する国家の余分な介入を縮小する国家管理システ ムの改革に注意が払われています。行政改革の実現、とくに連邦行政機関を最適化して重複と余分な機能を排除することで、目立った結果を達成しています 行 政改革では、経済の官僚化と事業の行政的な障害を排除する措置が採択されました。とく
に許可手続きの効率を引き上げるため、許可数を削減する各種連邦法の改訂案が示され、2005年7月7日ロシア連邦大統領が署名公布しまし
た。
 また、ビジネスを成功させる条件を創り出し、現在の国内基準を国際スタンダードに調和させる方向で進められた技術的・手続的な改革も特
に強調するに値します。
 2005年には、地域的な計画、都市建設の地区分割、地域整備、建築・建設設計、固定設備の建設と再建を規制する、ロシア連邦都市建設法
典が施行されました。
 法令適用の改革では、所有権、特に投資家と株主の権利保護、企業紛争の解決、商事仲裁・調停手続きを保証するメカニズムの整備が続けられています。また裁判審理の効率向上と裁判所の独立性を確保する方向で、司法機関の改革
も続けられています。
 経済活動の課税負担が軽減されて企業の財務状況が改善され、ロシア経済への国内投資の余力が拡大するようなりました。
 2004年1月1日から有価証券取引税の税率が発行価額の0.8%から0.2%に引き下げられ、付加価値税率も18.0%に引き下げられました。2005
年には、統一社会税の基礎税率が引き下げられ、逆進スケールが変更されました。事業活動の種類が拡大され、見做し所得に対する統一税の形式で課税システムが採択されました。
 2005年6月6日ロシア連邦大統領は、投資活動を活発化させるためのロシア連邦租税法典第2編改訂に関する連邦法と租税・課徴金に関するその他のいく つかのロシア連邦法令に署名しました。特に2006年1月1日から、納税者には投資額の10%を経費として直接引き落とす権利が与えられました。この他、 法律に基づいて将来への損失繰越制限が段階的に廃止されることになり、例えば2006年からはこの基準が50%まで増額され、2007年からは制限が廃止 され、損失全額が繰越できるようになります。 また、法律は科学研究・試作を促進する措置を含んでおり、特に科学研究・試作費支出を原価とする現在の制限 の廃止が予定され、この支出の全額が2年間引落とせることになるでしょう。
 企業経営の権利を保護する条件の一つは、競争を維持するための効果的な反独占法令です。
このことから、市場における不法な支配的状態に対する予防的な措置の整備が続けられています。
 2005年、ロシア連邦大統領は連邦法「旧ロシア共和国法律『競争及び商品市場における独占事業の制限に関する法律』第17及び18条を変更する法律」に署名しました。この法律で経営体資産の限度額が引き上げられました。
 経済活動への投資を保証するため、金融インフラと金融仲介システムの改編も続けられています。
 2005年には証券市場の法令整備計画が実現され始めました。構想された措置の目的は、金融派生商品(デリバティブ)の利用拡大、自主規制原則の拡大、自己資本の形成・資金配分・金融機関の資産構成と内容の一元化です。
 2005年には証券市場拡大のため多くの法律が施行されました。その中には、「証券市場参加者の顧客資金を保全する行政執行法」と効果的な配当政策の実施及び財務・経営の透明性順守による株式会社の投資活動を改善する連邦法
「株式会社法」の改訂もありました。
 2007年からは、公開株式会社による現在の上場手続きで提出される財務報告書に、国際基準の強制適用させることが計画されています。この法律は公開さ れる情報の内容を定め、投資家がロシア企業の信頼できる情報を受けられるようにするもので、2004年12月連邦下院の第2読会で法案が採択されました。
 2005年には、ロシア連邦政府とロシア中央銀行がロシアの銀行部門の発展戦略を決定しました。信用記録法も施行され、借入債務の適時履行に関する債務者の情報の提出・処理・保全業務を実施する信用記録局の公開手続きが定められ
ました。
 2005年7月13日、連邦上院は「特別経済地域法」案を承認しましたが、この法律は、内外ビジネスの投資活動に有利な条件を創り出し、ハイテク製品の製造を促進することが定められています。
 さらに、連邦上院は「利権契約法」案も承認しましたが、この法律の目的は利権契約の締結、変更及び解約手続きを含む、利権関係を規制する法的基礎を創出 したことであります。この法律の施行により、インフラ、住宅共益事業、その他の領域に民間資本を導入できることになり、国有及び自治体所有資産の運営と新 設のための
財政支出を節減し、税収その他の財政収入を増加し、投資家に保証を提供できることになります。
 
 最後に、次のことを指摘したいと思います。2003 ~ 2006年の間におけるロシア投資環境の改善は、非常に早いスピードで進んでいます。
ロシア市場は外国の機関投資家にとってますます魅力的になりつつあり、2006年上半期の実績では前年比で3.5倍に増加しています。この傾向は安定的で 長期的になると思います。そしてこれは、ロシアが世界の投資市場で対等のパートナーになりつつあることを意味しているのです。