外国投資家にとっての投資環境
 


ロシア経済発展貿易省によると、2005年ロシアのGDPは2004年より6.4%増加し、工業生産は4.0%、固定資本投資は10.5%、雇用者数は1.0%、貿易額は33.2%も増加しました。
 2005年のロシアへの外国投資流入額は537億ドルで、その累積額は1,118億ドルに達し、2001年比で3.8倍、2004年比では32,4%増加し、GDPに対する外国投資の割合は5.3%に増加
しました。
 
外国投資の種類別の構成は、これまで同様「その他投資」が最も多く74.8%を占め、直接投資
は24.4%、証券投資は0.8%となっています。 ロシアに対する主要な投資国は、キプロス、
ルクセンブルグ、オランダ、ドイツ、イギリス、アメリカ、フランスです。これらの国の割合は累積投資額の81.4%で、そのうち直接投資が79.7%を占めています。
 2005年には外国投資の部門別構成が幾分変化し、工業部門が2004年の41.5%から45.0%に、商業部門が37.2%に、運輸・通信部門が7.2%にそれぞれなりました。
 地域別では、外国投資総額の半分以上の53.0%が中央連邦管区に集中され、第2位のシベリア管区は12.6%、第3位の極東管区は10.0%でした。
 
国際社会には、ロシアに対して良いイメージが形成されつつあります。ロシアは、2003年10月に国際的な格付機関ムーディーズ社から、2004年11月にフィッチ社から、2005年1月にはスタンダード・プーアズ社から、それぞれ「投
資可能な信用格付」を受けました。
 コンサルタント機関A.T.カーニ-・ロシア社の評価によると、2006年、ロシアは直接外国投資の誘引度で世界第6位になりましたが、2001年は 32位、2004年は11位でした。国際金融研究所の見解では、ロシアは投資誘引度で中国と並んでおり、イギリスのインデペンデント紙は「投資家にとっ て、ロシア市場は中国よりもはるかに魅力的である」と指摘しています。
 
外国投資の専門家の多くは、ロシアに投資する外国投資家の関心が、短期的な利益とリスクの補填のみを考えては実行できないことにあり、基本的な(たとえ長 期的でも)状況を考慮する必要がある、と指摘しています。ロシアは外国資本の潜在的な大市場であり、大規模な工業と科学の余力があり、財政難はあるが輸送 と通信に支えられた現代的な宇宙計画をもつ国でもあります。また、ロシアは多くの隣接国市場へ直接進出できます。さらに、ロシアは世界でも有数の天然資源 埋蔵量を誇っています。極めて控えめな推計でも、現在ロシアにある天然資源(10.2
兆ドル)は、ブラジル(3.3兆ドル)、南アフリカ(1.1兆ドル)、中国(6千億ドル)、インド(4千億ドル)の合計よりも多いのです。
 
ロシアは潜在的に、外国投資の巨大消費国の一つであり、毎年200 ~ 250億ドルの直接投資、100 ~ 150億ドルの証券投資を受け入れられる状況にあります。ロシア産業企業家同盟ウオリスキー議長の推計によると、2010 ~ 2015年間のロシア投資市場の受容力は3~ 3.5兆ドルといわれ、この意味では外国投資市場としてのロ
シアには特に将来性があると言えます。しかしロシアは、外国投資家が資本を有利に投資するとき、注意深く「投資環境」を構成する多様な要素を考慮するのは当然と認識しております。