ゲル地区における共同マンション建替え事業

<ゲル地区における共同マンション建替え事業>

ウランバートルの郊外には、ゲルが立ち並び、ゲルから立ち上る煙は公害問題となっている。また、ゲルには電気もガスも水道もない。快適とは言い難い居住空間である。

日本の都心部では、高容積地区であるにも係らず土地を有効活用していない地域において、地権者・デベロッパーが協力して、地権者が事業資金を負担せずに、新築マンションに建替える手法(等価交換事業)が見受けられる。
この手法により、地権者は資産価値の高い物件を、手に入れることが可能となる。

幸いモンゴルには容積率という概念がない。であれば同手法を用いることにより、ゲルが抱える問題を下記の通り解決できるのではないか。

開発地区:ゲル地区2,000坪 地権者20名(各々100坪の敷地を所有の権利者)

【工事概要他】
敷地面積:2,000坪
延床面積:8,600坪
使用容積率:400%(仮定)
施工床面積:10,800坪
専有面積:8,000坪 20坪×400戸
専有率:93.02%
建物概要:RC造 地上5F
工期:8ヶ月

【その他】
現地地価相場:30千円/坪
市街地マンション相場:400千円/坪 
一般家庭向けの広さを20坪と想定 市街地マンション購入費:8,000千円

◎ 事業に伴う支出
建設費:200千円/坪 →2,160,000千円
解体費:50千円/坪(仮定)→15坪の建物20棟と想定 15,000千円
(ゲル、その他簡易倉庫、平屋の移転、処分)
設計費:建設費用の3%(仮定) →64,800千円
測量費:1千円/坪(仮定) →2,000千円
ボーリング:約2,000千円(仮定)
電波障害:不要
近隣対策:不要
登記費用:地権者20件分で300千円(仮定)
仮住居費:月額30千円(仮定)×20世帯(建設敷地の家庭)×8ヶ月=4,800千円
引越代:往復5千円(仮定)×20世帯=100千円
販売経費:(400戸-20戸)×300千円=11,400千円
予備費:5,000千円
                           計:2,265,400千円


地権者返還床面積
1軒当り専有面積20坪を返還
販売床面積総額売上
8,000坪-(地権者20人×20坪)×400千円/坪=3,040,000千円

                           計:3,040,000千円

利益
3,040,000千円-2,265,400千円=774,600千円

                           計:774,600千円

つまり、地権者は不動産取引に係る諸税金の負担はあるものの、仮住居の費用負担もなく、
約8ヵ月後には、新築マンションに住むことが可能となる。
事業主であるデベロッパーも約22.6億の出資が必要となるものの、利益は7.7億と非常に高い。ただ、郊外にある大規模マンションが市街地と同価格で完売する可能性や、電気や、ガス、水道をゲル地区まで引く費用がどの程度かかるのかは予測できず、リスクも高いといえる。