モンゴルでは、共産主義時代に終止符を打った1990年初頭、それまで完全に国家が所有していた不動産を無償で国民に割り当てる作業が始まった。国家所有のマンション、建物、工場から始まり、最後に居住専用土地(宅地)の私有化が行われた。社会主義時代に国家公務員、優れた功績を残した労働者などの中から順番使用権が与えられていた団地型マンションには、ウランバートル市民の4割程度しか住んでおらず、その大半が郊外のゲル生活を強いられていた。  

 そこで、マンションの私有化作業は、それまで使用権を得て住んでいた住民にマンションの所有権を優先的に割り当てられた。

 一 方、郊外のゲル集落宅地の私有化作業が、マンション私有化作業が一段落した2002年頃から開始された。成人且つ世帯主であるなど、一定の要件を満たすゲ ル集落住民にその宅地を優先的に割り当てた。ウランバートル市では0.35ヘクタールの面積(一般的なゲル宅地の面積に等しい)を上限に設定し、区画の面 積及び権利調整作業が続いている。