Imageモ ンゴルの首都 ウランバートル市は人口100万人の都市だが、その半数弱がインフラが整備されたアパートに住んでいて残りの住民は ゲル(伝統的な住居)に住んでいる。ゲル住民は、ウランバートル市の郊外だけでなく、街の中心部にも存在するがその数は建設ラッシュにより年々減少しつつ ある。一般的にアパートと称する住居は旧ソビエト時代に造られた壁式鉄筋コンクリート造、或いはレンガ造りの5階建てが殆どでセントラルヒーティングに よる暖房設備が備えられている。この暖房方式は、当時の都市計画によりウランバートル市西部に位置する2箇所の火力発電所から出る温水をパイプで各施設に 送り込み住居内を循環させるというやり方である。決して効率的とは言えないが、施設のトラブルも無く順調であれば、-30度でも窓を開けて寝れる程部屋の 中が暑くなる。ただ、老朽化が進んだ火力発電所のトラブルにより停電すると同時に暖房も停止してしまうといった具合で、住民はサバイバル状態におかれる ケースも少なくはない。このことを想定して各台所にストーブ、そして壁内には煙突を設けたアパートも存在する。
  ウランバートル市内の一般的なア パートの間取りは、リビング・ダイニングといった表現には当てはまらない独特の間取りである(大多数のアパートでいえることで新築の物件では異なる)。ま ず玄関から入ると廊下として5畳ほどの四角いスペースがある。ここには着込んだコートなどを掛けたり、脱ぎにくい長靴を椅子に腰を掛けてゆっくりできる大 事な空間である。そこから見えるのは各部屋のドアで台所や寝室へ直接アクセスできるようになっている事が多い。台所には流し台や先ほどの緊急時用ストーブ を設置されていてその他にダイニングテーブル、冷蔵庫なども置けるスペースがある、窓やドアも付いていて4.5畳程の独立した部屋である。
 リビ ングとして考える6畳程の部屋には必ずと言って良いほどバルコニーが付いている。バルコニーは片持ちに張り出した、各住戸個別のもので幅1m程度ある。壁 式の建物が殆どなので、梁や柱の妨げも無く部屋の中はスッキリしている。天井はフラットで直接上の階の床が見えている状態だ。ボイドスラブと言う、幅 1m、20cmの厚みをもった中が空の長い板を並べて床(天井)を造るため、その目地部分も直接見える。壁には塗装を塗るか壁紙を貼って、良い雰囲気をだ している場合が多く、床にはビニールタイルを貼った上にカーペットを敷いて快適にしている。その他の部屋もドアを外してあったり、乾式壁を設置してあった りする位で先ほどのリビングと同じような仕上げで、いたってシンプルなものである。浴室は浴槽が必ず置いてあって、その脇には流し台(トイレも一緒にある 場合がある)があり、洗濯機や洗面台を置く場所は無い。湯船に浸かるよりシャワーを優先するモンゴル人にはどうしようも無い造りである。浴槽のそこが丸く て滑りやすいし、シャワーを浴びるスペースを確保するのは困難である。
 1戸占有面積は部屋数によって異なるが、2部屋タイプで40~50㎡が多 く、1Rだと25~30㎡が殆どだ。壁の厚さが60cm以上ある一般的な建物では内法寸法で面積を測るのが一般的で壁心で表記している場合と随分違ってく るので要注意.