IKADA/SAIKAERI 2022

制作記
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私は志摩市の問題の一つでもある廃棄養殖筏の作品に
取り組み出した頃
尾鷲に運ばれた。何故そこに運ばれたのかは、
養殖筏がある現地視察に行き知る。
尾鷲からの間伐材が的矢などの養殖筏となり、
朽ちて使えなくなったものであり、
その後カフェの場を作る城山源らによって5、6メートルある
50本以上の筏がクリスマスにアトリエに運ばれてくる。
その筏には廃棄に困っているロープ、そこに生息した牡蠣、
ばんせんが、ついてきた。 




作品の材料はそれら廃棄物を主材料とし、
筏のナルを一本、一本削っていくことからのスタートだった。 

カフェとなる場は波切、九鬼水軍、城跡も残る熊の灘沿岸沿いで2つの海流があわさる、
言い換えれば何かが生まれる場所でもある。
無垢と焼き塗りをした2つのナルにしたのも、
何かが生まれる源に。
ということもふまえている。
そしてどの地に住む人も、皆漂流者であって
この用途の終えた筏のように、また誰か何かに出会い繰り返し何かを残していく。 


ペットボトルは?と聞かれるが、きっと
海辺に漂流したゴミを、この地域の人が
自発的に拾っている姿が美しいなと感じたからかもしれないし、突発的な発想かもしれないし、
漂流物としてなのかもしれない。


私は芸術作品を用途のない作品を作り続けていてこの波切の地に運ばれて来たのだが、
アート(如月愛)、建築家(濱口雄)と発想を重ねあい共同作品として建築ともなり
動かせない そこにしかない作品となった。



IKADA / SAIKAERI 2022

外門