繰り返される話し合いの現場
今日は日曜日ですが、雨が降り、冷え込んでいます。
突然なのですが、上の写真はグランドピアノのハンマーを撮影したもので、ハンマーの後ろにある黄色と赤のフェルトを持つ部品をドイツ語でFänger(フェンガー)と言います。
打鍵をすると、ハンマーは弦が張ってある上方に上がり、また落ちて来ます。落ちてきたハンマーがリバウンドをしたりしないように、素早くキャッチするための部品です。
このFängerの向きや角度、そして落ちて来るハンマーを弦から、どれくらい離れた場所でキャッチするかという調整は、弾き心地ととても密接に関わっています。
今年から工房で働き始めた同僚がいるのですが、彼には既にとても長いキャリアがあり、自身の経験を踏まえた上で、従来の工房の調整方法を変えた方がいいのでは?という提案をしました。
当然、長い間、工房で働いている先輩は、自分たちのやり方が正しいと主張します。
こういう時に判断を下すのがマイスターなのですが、話し合いの末、新しい調整のやり方に変える事になりました。
僕が工房で働き始めて4年近くになりますが、こういう現場は何度もありました。そして、すでに130年以上の歴史を持つ工房で一体どれくらいの話し合いの現場があったのだろうと想像すると、改めて現場で働けている事に感謝の気持ちが湧いてきます。