こちらの記事の続きです。

怒りが成長した先にあるもの

松村憲:そうですね、復讐心が形を変えて成長していくみたいな感じですね。

小島美佳:最初に感じる親の仇とか復讐心みたいなものは、きっかけなんだけれども、もっと自己理解が進むと最初が実は浅かったんだなぁっていうのがわかりますよね。

日常の職場などでも、例えば上司が部下にめっちゃダメ出ししてて、端から見るとパワハラでは?というようなことはあると思うんです。

「それをやってはいけない」と安易に決めつけてしまうと、「怒ることをやめる」ことを努力するみたいになる。

闇雲に攻撃するのはよくないですが…(苦笑)… 

そこをもう一歩深く内省できたとき、鬼滅的に言うと『精神がより研ぎ澄まされる』ということかと思います。

 

 

松村憲:怒りを抑圧すると、心は燃やせないですよね。
普段、組織のリーダークラスのコーチングをすることが多いのですが、彼らは力の使い方とか『怒り』の感情に悩まされることも多くあると思います。

ただ、怒りを抑圧しようとしても無理しているだけなので、爆発してしまうとか、自分が病んできてしまうリスクも高まります。
逆に怒りに向き合ってもらって「パワハラ的な行為はダメですよ!」とはっきり伝えつつ、しっかり怒りを表現してもらったり、「その怒りの背景には何があったんです?」と聞いていくと、自分の悲しみや、相手に対するすごく熱い想いが出てくることが多いです。
その想いにつながって、本来の目的のために新しい関わりを覚えてもらうと、彼らのリーダーシップが非常に変化するということがよくあります

心を燃やしはじめるんですね。
心を燃やすリーダーがいるとチームの雰囲気も一気に変わってきます。

小島美佳:あーそうですよね。

 

強い怒りや憎しみを味わい尽くす

 

松村憲:だから怒りが大きければ大きいほど、とか、憎しみが深ければ深いほど、ちゃんとそこを見ていくと『想い』にたどり着くみたいな。

多分深層心理学的にはそういう心の力動はありますよね。

僕の大学院の指導教官は老松克博というユング派の精神科医の先生なんですけど、学生時代に彼が呟いた印象的な言葉を今思い出していました。
マザーテレサとかそういう偉人の人たちの、感情的なタイプ論などを検討しているクラスだったんですけど、「こういう宗教家とかすごい献身的なところまで行く人っていうのは、並々ならぬ想いではできない、よほどの憎しみがある人です」みたいなことを言っていました。

 

Mother Teresa
Source : Wikipedia

 

小島美佳:へー面白い。

 

松村憲:すごい衝撃でしたが、「おぉっ!そうなのか!」と納得もしました。
並々ならぬ人類への献身みたいな精神は、そういう強い憎しみとかが昇華したものの形なんでしょうね

 

小島美佳:ネガティブなものや苦しみを伴う感覚・感情をしっかりと味わっていくっていうことなんでしょうかね。

 

松村憲:そうそう、そういうことだと思います。

単純に『怒り=だめ』ではなくて、「怒りを閉じないのはどうですか?」みたいな焦点ですよね。
ただ怒りに乗っ取られるっていうのはだめです。そういったところでマインドフルネスは一役買える部分かなと思います。
後は「なんで怒ってるんだろう?何を願っているんだろう?」という自身への問いがあるとさらに深まると思います。

 

小島美佳:自分の怒りの原因はどこにあるのか?という探求をしていく…

 

松村憲:単純な心理学の雑学ですけれども、『怒り』っていうのは第二感情と言われていて、感情には色々あるけれども、怒りってやっぱりスイッチがもう1段あるよねっていう話なんです。とっても悲しかったから怒るとか、なんで悲しかったかの背景に大事な想いがある。そこまでたどり着ければ心が燃えてくると思います。

怒りで燃やされるのか?心を燃やすのか?

小島美佳:なるほどー。
あとちょっと個人的な興味からの質問なんですけれども、心が燃えている人とただ怒っている人のちがいって、傍からはわかるものなのかしら?

 

松村憲:わかるんじゃないんですか?
あーでも、心を燃やしているようで怒りも結構な勢いで燃えちゃっている人っていうのはいますよね。

 

小島美佳:両方とも燃えちゃってる人、、、 笑

 

松村憲:なんか暑苦しい人とか何か近づきたくないなぁみたいな。
ほんとに心が燃えていたら、それが伝染してもいいじゃないですか。

その人の情熱に触れると元気になるみたいな。

今、日本中で映画に影響を受けた人が煉獄さんが燃やす心の炎に感染していますよね。

逆に憎しみが燃え切っていない人とは距離をとりたくなる、とか。

 

 

小島美佳:憎しみが燃えきってないけど、何か心も燃えているみたいな、発展途上形って言う感じですね。

 

s子:あのー初歩的な質問なんですが、心が燃えている状態っていうのは『情熱』って言葉でも置き換えられるんですかね?

怒りも通り越した情熱とか。

 

松村憲:そうですね、怒りは通り越してますよね。

s子:上の人たちが「やりたい!やるぞ!」ってなって、周りの人がわーってついていくような感じとか。
鬼滅の刃で言ったら、鬼殺隊のリーダーの親方様が「僕が死んでも大丈夫、子供たち(鬼殺隊の剣士)が僕の想いを必ず繋いでくれる」って言っていて、人の想いが鎖のように繋がっていって1人で終わりではない、人の想いは永遠で不滅だって言う話だったと思うんですけど。

 

松村憲:近いところはあると思いますよね、パッションとか情熱とか志とか。

 

s子:確かに『志』は鬼殺隊の剣士にはすごく感じますよね。

 

小島美佳:皆さんが『鬼滅の刃』から何かしらのインスピレーションを受け取って、もう一段階深く自分の感情を感じられるようになるといいですよね。

 

※こちらの記事は「Mindfulness」に掲載している内容です。

 

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ヨガする心理学者 松村憲

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