多くの選手が自分にできる最高難度の演技構成で挑んできたと思う。
ミスのない選手が多かった。
会場も満員で、観客の反応もよく、良い大会ではなかっただろうか。
浅田選手に対する不公平な採点を除いては。


メドベデワはスタオベ。素晴らしい演技だった。彼女こそミス・パーフェクトだろう。
技術的な穴はない。最高難度なのは確かだろう。浅田選手を除いては。
このまま、人間として成熟し、表現に深みが出たら、非常に楽しみだ。
そこまで、選手としての寿命があるのならば。
リプニツカヤの後を追うことにならなければいいが。
彼女の変わりは山ほどいるのだから。

ワグナーも素晴らしい演技。
会場は熱狂した。
悲願の初の表彰台だった。
個人的に非常に嬉しい。
浅田選手潰しの余波をもろに食らった唯一の選手。
セカンドループを跳び、ルッツのエッヂエラーがあり、回転不足を取られやすいジャンプだった。
シニアデビューした時は、ポップが多く、ピョンピョン飛び跳ねるポニーテールが印象的だった。
努力に努力を重ねたのだろう。
体のラインもポジションも少しずつ美しくなり、技術も上がった。
3F+3Loは3F+3Tに変えて挑戦し続けてきた。
ワグナーという名前と金髪碧眼が災いしたのか、自国の連盟に愛されなかった。
試合会場やアイスショーでいやな場面を見たことがない数少ない選手の一人だった。
いつも明るく、気を遣っているように見えた。
心から、おめでとう。


ポゴリラヤも初の表彰。
身体的表現の技術が格段に増し、表現にある程度の深みが出てきている。
モロゾフ振付も彼女にあったように思う。
今季はGPは不調で、ファイナルにも出場は出来なかったが、ロシア選手権、欧州選手権に続いての3位となった。
精神的にも成長したのだろう。喜ばしいことである。


ゴールドは気の毒だった。
怪我か体調不良か。
冒頭の3Lz+3Tでの転倒の後は立ち上がりも遅く、体の動きも悪かった。
しかし、冒頭に大きな失敗をしたのだが、落ち着いて、冷静に演技が出来ていた。
後半に2A+3T+2Tを決めたが、2Lzが痛かった。
彼女も精神的に大きく成長したと思う。
全米の気迫のフリーも素晴らしかった。
しかし、技術的にはもっと進歩が必要だと思われる。
特に身体的な表現技術の強化が。


宮原はどうして回転不足が取られないのか全く理解できない。
加点がもらえるのも理解できない。
なぜ、宮原???
分からない。
しかし、妨害行為をしなければ、それで良しとする。
彼女だけが最高難度の構成ではなく、みっともないジュニア以下の構成だった。
彼女もメドベデワと同じ危うさがある。
一門のトップでいられるのはあとわずか。
その後が見ものだ。


ラジオノワも頑張った。
体は大人の女性になってきたが、フリーで高い基礎点を維持できていることは素晴らしい。
一応、ノーミスだったが、演技後の本人と会場の温度差が痛かった。
ジュニアの頃よりはマシだがスケーティングの質が一向に上らない。
クロス多用の上、そのクロスすらスピードが出ていない。
ジャンプの質も低い。
体力不足か特に後半のジャンプが。浅田選手なら回転不足なレベル。


本郷選手も良い演技をした。
一部スタオベ。
相変わらず姿勢とポジションは汚いが(かなり改善されてはいるが)、勢いはあった。
会場の拍手にも助けられた。アイリッシュダンスを使用したのが正解。
何より楽しそうなのが良かった。


長洲選手も良かった。
後半、力尽きてきたのか、ジャンプが詰まり気味。
急な出場で調整は大変だったろうが、チャンスにくらいついている気迫は感じる。
良い演技だった。


浅田選手については、本人が納得出来ればそれでいい。
得点と違うところで、彼女が達成感を得ることが出来れば。
喜びを感じることが出来れば、それでいい。
私は納得できず、見ているのが辛いが・・・・。
最高年齢、最高難度。
彼女の挑戦は素晴らしい。それを評価する人は世界中にいる。