みおぼんのGoing My Days -226ページ目
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お誘い


みおぼんのGoing My Days-River side


彼との出会いから一週間程経った頃、電話がかかってきました。


もしもし、この前は出会えてホントに良かった。すごく楽しかったよ!所で、今度一緒に食事でもどうかなぁと思って。僕も日本に来てまだ間もないから、おいしいレストランや良いバーとか知らなくて…。もし良ければ君の知っているオススメの場所とか教えて欲しいんだ


もちろんすぐに承諾しました。

初来日でわからないことだらけだと、誰でも不安に思ったり心配になったりしてストレスが出てくるだろうし、せっかく何かの縁でこうして出会えたのだから、これから住む街のことを知ってもらう為にもすぐに会う日時を決めて約束をしました。


この電話から数日後、駅で待ち合わせをして再会。

ちょうど夕方の晩ごはん時でお腹が空きまくっていた私は、開口一番に


何が食べたい?


と訊いてしまいました…。もう、限界を超えそうだったからです。

そんな切羽詰った様子の私を見て彼は笑いながら、


何でもいいよ。君が食べたいものを食べに行こう。


と、快く答えてくれました。

その時はちょうど生春巻きが食べたかったので、駅からすぐ近くにある、かつて行きつけだった(現在はごくたまになってしまいましたが)レストラン・バーへ。


そこは10年ぐらい前から時々行くレストラン・バーで、スコットランド人のオーナーと日本人の奥様が経営しているところ(現在は他の日本人の方が経営しています)。スコットランドの家庭的なメニューから、東南アジアの料理や南米の料理などを出す無国籍料理レストラン。毎週土曜日の夜のダンスタイムや、ハロウィンやセント・パトリックスデー、ニューイヤーズイヴなどのパーティー事も盛んにやっているような場所です。


私はここの生春巻きがとても好きで、大きすぎず、分厚すぎないペーパーライスで巻かれたものを、ピリ辛の特製ソースにつけて食べるのが幸せでした。他、いろんなメニューを何品かオーダーして分け合いました。

彼もおいしそうに食べてくれて、連れてきて本当に良かったと思いました。


お腹が満たされていくうちに気分も高揚して(単純)、気持ち悪い程の笑顔で話していると、彼もつられてすごい笑顔になり、何を話してもずっとお互い笑いっぱなしで、今にして思えば異様な光景でした。


そろそろ移動しようということになり、そのレストラン・バーから少し離れた場所のショット・バーへ。

外側の階段から直接地下へ降りると、カウンターの向こう側になぜかバスケットのゴールポストがあるような一風変わったバーで(現在は閉店)、そこのマスターやスタッフの方々はとてもおもしろかったので、彼を連れて行ったのです。


様々な事を、お酒片手にたくさん話しました。

お互いのバックグラウンドや、国のことや、言葉のことや、夢のことなど。


ひとしきり話し終わって、バーを後に。


下弦の月が、晴れた漆黒の夜空にぽっかりと浮かんでいました。

明るい黄金色の月の光を見て、私は、「Fly Me To The Moon」を口ずさみました。

古い歌で、いろんなアーティストがカバーしている楽曲ですが、世界で一番好きな歌です。

すると彼は、


その歌、なんだか聴いたことがある


と言い出し、歌詞やメロディーはでたらめでしたが一緒に歌ってくれました。


春の涼しさと、初夏めいた暖かさが混じった風が吹き渡る中で歩いていると、妙な懐かしささえ感じられ、不思議な気持ちになりました。

切なくて、切なくて、あったかい何か。


楽しい時間はあっという間に過ぎていき、あまり遅い時間になると終バスがなくなってしまうので、また近いうちに会いましょうということで解散しました。



お互いに、動き出した運命の時間を知るのは、もう少しあとになってからでした。

出会い


みおぼんのGoing My Days-At Bar


2005年の4月23日、その当時行きつけのプール・バーにたまたまフラッと一人で行きました。

顔なじみの人達がいつも誰かはいるような、自分にとってはリラックスも出来るようなバー。


そのバーは普段、出入り口のドアを開け放っていることが多かったのですが、その日はたまたま閉まっていました。

一瞬、「あれ?店休日だったっけ??」と戸惑いながらドアを開けました。


ドアを開けると目の前にカウンターの天板が縦方向に延び、その一番向こう側に見たことのない外国人の男性が座っていて、真っ先に目が合ってしまいました。


その瞬間、とても奇妙な感覚に陥りました。


今でも鮮明に憶えています。あまりの奇妙な感覚にその刹那、目前に広がる空間が捻じ曲げられたような…。

でもその一種異様な感覚もすぐに消え、「こんな人、いたかな…?」と普通に思える程正常に。


その男性は軽く会釈したので、私もつられるように会釈をし、カウンターがある方とは正反対にあるフカフカのラブシートへ。ちょうどそのシートにこのバーでよく会う日本人の女の子がいたのであいさつをして、カウンターにいるマスターにお酒をオーダーしようと、メニュー表を探しました。

そのメニュー表はその外国人の男性客と、その左隣に座っている日本人の男性客の中間に置かれてあり、取るのにそれぞれに英語と日本語で「すみません」と言いながらメニュー表を持っていきました。


カクテルをオーダーし、飲み友であるその女の子と談笑していると、さっきの外国人の男性が、


Hello


と、声をかけにこちらに近寄ってきました。


カウンターに座っている時にはわかりませんでしたが、彼はスラッと背が高く、なんだかその背の高さが一般の欧米人より高く感じられました。

彼を私が座っているシートの奥の方へ座らせ、それから3人で乾杯をしておしゃべりをしました。


英会話スクールの講師として日本にやってきた彼は、カナダ人でノースバンクーバー出身の当時24歳。

まだ来日して10日目、日本語も全くわからずの状態で、オーストラリア人のルームメイトが(当時)イギリス人の彼女の誕生日を祝うため彼も同席し、このバーを訪れたとのこと。


彼らにも軽く挨拶をし、彼女にお祝いの言葉をかけ、それぞれ思い思いにその空間を楽しみました。

やがて飲み友の女の子はダーツの練習のため、ビリヤードの台の横にあるボードを使い出し、残された私とカナダ人の彼はそのままお酒を飲みながら会話を続けました。


バンクーバーの出身ということで、ちょっと驚いた私は、


私の母と祖母もバンクーバーで生まれたんですよ。」


と話すと彼はビックリして、


だからアナタは英語が上手なんですね!特に発音がとてもキレイでパーフェクトです!!


と褒めてくれました。嬉しかったですが、その発音特訓は母のスパルタ教育により、幼少期の苦い思い出の一つですし、私はネイティブではないので、正直パーフェクトではないのです。それに、ボキャブラリーは高校を卒業してから独学で憶えていったものなので、全然きちんとしたものではなく、複雑な気持ちでもありました。


彼は音楽やアートが大好きで、特に音楽に関しては大学でも学んでいた程。

ストリートミュージシャンとして一人でギターやハーモニカ、ディジュリドゥ、パーカッションなどを自在に操りながら歌ったりパフォーマンスをしているという彼は、話しぶりや表情など、とてもナチュラルな雰囲気を持ち合わせていました。


私自身も音楽は聴くのは大好きです。アートに至っては特に絵を描くことが幼い頃が大好きで、マンガ絵系ですが趣味でずーっと描いてきました。社会人になってからは描く頻度も少なくなってしまいましたが…。


こういうことから意気投合し、会話が盛り上がりました。


その時、ちょうど私の好きな曲がかかりました。

全くの偶然でしたが、嬉しくなったので踊り好きな私は彼に、


一緒に踊りません?


と誘ってみました。

彼は私からの誘いに快く乗ってくれ、一緒に踊りました。


後に彼はこう話してくれました。


あの時、君がとても楽しそうに踊っていて、それがすごく印象に残っていて、もっと君のことをよく知りたいと思うようになったんだ。」


気が付けばもう朝の5時をまわっていました。

空がだんだん白んでくるなか、そろそろ帰らないと…ということでバーを後にした私達。


酔っ払いのおっさん二人が肩を抱き合いながら千鳥足で歩くように、(実際、お互いに酔っ払ってはなかったけど)肩を組みながら変な歌を即興で歌いながら歩きました。


空にはもうすぐ輝きを失って白い色に変化しようとしている満月が。


私の誕生日に日本の地に初めて降り立った彼は、その10日後に、将来の妻となる日本人の私と偶然に出会いました。


これが、私達の歴史のはじまりです。











はじめまして!

ブログ初心者のみおぼんです☆


予定よりちょっと早めのブログデビューですが、結婚して一年と一ヶ月という微妙にキリのいい数字(?)ですし、国際結婚生活や移住のことなどを中心にぼちぼち綴っていこうと思います。


みなさま、どうぞよろしくお願い致しますm(_ _ )m

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