ほらさ。
いちおう、社会人なわけじゃないですか。これでも。



そりゃもう今までね、分厚い立派な本も、買いましたよ。
ただの紙束がなんでこんな高額なのか、
騙されてんじゃないかってくらい、
高価な専門書の値段に、いっつも泣かされながらも、


医学力の向上・・・・、を、目指し、





本を買って、
どっかのえらぁい著者の先生のフトコロをうるおすことに貢献しつつも、本読みました。


読みながら、寝てました。










試験前になったら、シリに火がついたようにあわてて、
勉強だってしてきたよ。






医学部の学生ってのは、
試験の量が半端なく多いんですよ。



私が白い巨塔見て、財前教授の手マネやってるあいだにも、
卒業試験の日は容赦なくやって来るのです。








それはもう、借金の取立てよりも確実に。








そんななか、一緒に切磋琢磨してきた仲間が私にもいるんですってば。


持つべきものは頭のいい友人。
授業まじめにでてきっちりノートとってる友人。
日ごろからまじめにコツコツ勉強してる友人。




これに限ります。










自慢じゃないけど、
いや、自慢だけど、
友達はみんな頭よかったんです。




勉強もちゃんとする。
授業にもしっかり出席する。



私が、遅ればせながら初めて買ったプレステに、FF8のソフト入れて、セーブし忘れて死んでやり直し! えっまた死んだ! このガーディアン強っ
とかってのを8回くらい繰り返してた夏休みにも、
ちゃーんと彼女たちは、勉強してました。





まあそんなふうに、試験前はいろいろと助けてもらい、
試験後もいろいろと助けてもらい、
持ちつ持たれつの持たれつが95%くらいの関係でも、
チョーがつくくらい、仲良しでした。










でもさ。




誰しもそうなんだと思うんだけど、
仕事をしだすと、
金はないが時間ならあるぜってゆうアホな学生みたいにはいかなくて、
やっぱり時間がなくなるわけですよ。





みんなそれぞれ、違う病院で働いてたりすると、
休日出勤もふつうにあったりするし、
病院での付き合いもあったりするしで、


なかなか、一緒にごはん食べに行ったり、
あそびにいったりできる時間が、確保できなくなってきました。







ときどき、メールでやりとりして、


「うさこー、ひさしぶりー!」

「あ、メールありがとう、ひさしぶり~」


なんてあいさつのあと、


今日こんなことがあったよ、とか、


アンタの病院きのうテレビに出てたよ、とか、


同級生のX君がこないだ結婚したらしいよとか、


そーゆう話もしたりするんだけど、










でも、








そうゆうのはまだいいほうで、
連絡もつかなくなっちゃった友達も、います。















でも、こないだ、ふと、患者さんが持ってきた紹介状をみると、



○○病院
救急部  T川 Y之丈



とかって、書いてて、










・・・なんか、見覚えあるなぁ、って思ったら、










・・・・先輩の名前じゃんか。これ。




先輩、じつは近くの病院にいたんだ!


って、初めて知りました。


変わった名前の先輩なので、きっと本人だろうなぁと思って、
紹介状のナカミを読むと、













・・・もうね、これが、クソ長い。





どんだけ丹精こめて書いたんか知らんけど、
とにかく長いのです。



病歴やら、受傷時の状況やら、発見されるまでの時間やら、刺さってた刃物の材質から、出血量やら、救急隊員が何名で駆けつけたとか、


もう、とにかくこと細かい。




娘の生理の日を手帳に全部控えてるオカンの熱心さよりも、

彼とのデートで見た映画の半券アルバムに全部スクラップしてる女の情熱よりも、

はるかに濃いんじゃないかこれ、

って思えるくらい、とにかく細かい。こと細かい。












・・・




読むの、必死。






10.5ptのワープロで印字されて改行もあんまりしてなくて、
この紙ってもともと黒かったっけって軽く誤解しそうなくらい、
アリでも這ってんじゃないかって見間違えそうなくらい、
文字のびっしり埋まった紹介状、3枚半。






これを私にさんざん読ませた先輩、
さらに、




血液検査のデータ、毎日分。合計10枚。
手術記録2枚。
麻酔記録1枚。
退院サマリ、A3で1枚。
画像のコピー、プライスレス。







いろいろと、おまけどっさりつけてくれてました。






すごい、分厚さでしたよ。





(つづく。)