ワシントンDCから成田に向かっていた

ボーイング747型機が

アラスカ上空で乱気流に遭遇し、

重傷者を含むケガ人が出ました。



負傷なさった方に

お見舞いを申し上げます。




僕もかつて乱気流に遭ったことがあります。



中国の上海浦東から福岡へ帰ってくる時のこと。

その日は夕方から急に浦東空港周辺が濃霧に包まれ

出発が遅れていました。

これは今夜は飛ばないかな と 半ば諦めていたところ、

天候が回復したとのことで

1時間ほど遅れて 浦東を離陸。



離陸後は 曇りの日に体感する程度の揺れはあったものの、

特に悪天候の中を無理に飛んでいる感じではありませんでした。




ほどなくベルト着用のサインが消され、

ドリンクのサービスが始まりました。


この時 1回少し強い揺れがありました。

機体の後方からドンと大きな音がしたので

後ろを振り返ったのを覚えています。

しかし 座席テーブルに乗せたドリンクが

倒れたりこぼれたりはしなかったので、

特に気にすることなく

CDウォークマンなんぞを聴いていました。



そのうちミールサービスが始まり、

機内食が配られました。

このあたりから 時折細かい揺れが始まりました。

トレーを倒して服を汚しては嫌なので

食事は早めに済ませたほうがいいな と思い、

かつての給食早食い王の技で

パパッと平らげてしまいました。


CAが中国茶をすすめてきたので、

コップに注いでもらい 座席テーブルに置いたところ、

再び揺れが大きくなってきました。

こぼれてはいけないと考えて

熱々のお茶が入ったコップを持ち上げた


その時。




突然 上下左右に振り回されるような

激しい揺れに襲われました。


一瞬 何が起こったか解りませんでしたが、

女性客の上げる金切り声で

事態を飲み込み 強い恐怖を覚えました。



右手に持っていたはずの

熱いお茶が入ったコップはありません。

どこかへ飛ばされてしまいました。



断続的に 機首が上下したり

シーソーのように機体が左右に振られたり。

時間にするとどれほどだったのか

はっきりとは覚えていませんが、

とにかく両腕で突っ張るように座席の肘掛を握り

強烈な揺れに耐えました。




揺れが収まると 機内の状況が解ってきました。

ちょうど食事中だったので、

客室内は 機内食が散乱し、

壁や天井がかなり汚れています。

ドリンクを頭からかぶった人もいました。



同行の後輩は、

乗客が飛ばされ 天井に叩きつけられるのを見たそうです。

ベルトをしていなかったのでしょう。

こういう人は 他にも数人いたようです。



ベルト着用のサインは出ていなかったと記憶しています。




着陸の直前に 機長からのアナウンスがあり、

それを通訳した日本人CAによると

機体が被雷したとのことでした。




一般的な話をすると、

航空機が雷を機体に受けることは

さほど珍しいことではありません。

雷を受けても 乗っている人間が感電することはありません。

旅客機には放電装置があるため、

雷は機体の表面を流れて 一瞬のうちに大気に放電されます。

稀に 雷で機体が破損したり出火する事もありますが、

まともな航空会社なら 普段の機体整備は行き届いていますし、

気象レーダーなどを使って

あらかじめ積乱雲の中を飛ばないように回避しますので、

危険度は著しく低くなります。




ただし、気象情報やパイロットの目視でも

突然やってくる乱気流に対応できないことも多いのです。


「晴天乱気流」と呼ばれる現象は

その名のとおり 雲を伴わず、

肉眼やレーダーでは見つけることができません。

しかも 航空機が飛ぶ高度では

こうした現象が頻繁に起きています。

つまり 航空機が乱気流に遭うことは

それほど珍しいことではないということです。




こう書くと

怖くて飛行機が嫌いになってしまいそうですが、

実際には 乱気流が直接の原因で

飛行機が墜落するのは たいへん稀です。



万が一 飛行機が上下逆さまになったとしても

機体を立て直せる訓練を

パイロットは積んでいます。




乱気流で怖いのは

むしろ 激しい揺れの中

機内で 人が飛ばされたり 叩きつけられたりすることです。

重い手荷物が凶器になることもあります。



大切なのは

ベルト着用サインが出ていないときも

必ずシートベルトをすること。


重量のある手荷物、

サイズの大きい手荷物は

機内に持ち込まず 預けること。





激しい乱気流に遭遇したあと

しばらくは怖くて飛行機に乗れないかと思っていましたが、

いろいろ調べた結果 僕は今も普通に飛び回っています。

信頼度の高い航空会社なら極めて安心して乗ることができると

僕は理解しています。




僕は トイレに行くとき以外は

決してシートベルトを外しません。