この時代の色は、ほの暗い部屋で過ごすことが多かったため、目立つ色、鮮やかない色が多いです。

 

 現代では様々な色を身分に関係なく誰でも自由に着ることができますが、平安時代は身分によって着用できる色が決まっていました。

 

禁色(きんじき):天皇を始め貴族たちが着用可能な何種類かの色。

許し色:禁色以外の色。

雑色(ぞうしき):貴族の家で働く使用人たちがめちゃくちゃな色(カラーコーディネートされていない)を着ていたから。

 

 

 カラーコーディネイトの重要性として、服飾ばかりでなく、季節と服飾の色、手紙の料紙(便箋)の色、料紙を結び付ける植物(花)の色のセンスも問われ、それがその人の教養を測るモノサシになったからです。

 

 また、襲色目(かさねのいろめ)といって、2種類の薄い絹を重ねて混色効果で別の色に見せるカラーコーディネイト方法もありました。例えば白と白を重ねて氷重ね、白と赤を重ねて紅梅など、季節によって重ねる色が決まっていました。

 この襲色目は平安の色彩文化の大きな特徴です。

 

 このように、色は身分と教養を表すものだったのです。

 そして、光る源氏は最愛の人である「紫の上」(注:紫の上はいくら愛されていても正妻にはなれなかった。身分は愛人)にだけ紫色の着物を贈りました。

色は愛の証でもあったのですね。

 

 『源氏』の中に登場する色を拾い集めると、貴族たちの隆盛と没落が見えます。