今日は『源氏…』唯一の官能的な姫君、「朧月夜の君」さんにご登場願います。
Q,朧月夜さん、あなたは右大臣家の六の君で、あの弘徽殿女御さんの妹さんですよね?
「はい、姉は私を、姉が産んだ皇子であり現在の皇太子に嫁がせようとしているんです。勝手に決めてイヤになっちゃう」
Q.あなたは皇太子さんの叔母にあたるわけですが、お嫌いなんですか?
「そうじゃないの。宮様がお小さい時から知っていたし、優しい人だと思うしどちらかと言えば好きだわ。 私は皇太子妃になるのがイヤなのではなくて、後宮に入るのがイヤなの」
Q.それは何故ですか?
「だってぇ、窮屈じゃない? 姉を見ていても、最初、帝に愛されても帝の愛は別の人に傾き、嫉妬やイジメがあると聞いたわ」
Q.そうですか。 では、あなたはどうしたいのですか?
「今、好きな人がいて、その人とエッチするのが楽しくてしかたないのよ。もっと愛したいし愛されたいの」
Q.え? 皇太子妃に決まっているのに?
「関係ないわ。 だって出会いからして超刺激的だったのよ。
宮中で花の宴が開かれた夜、右大臣家に帰れなくなって弘徽殿の姉の所に泊まったの。
なかなか眠れなくて弘徽殿の舎の廊下を歩いていたら急に袖を掴まれて身ぐるみ剝がされちゃったの。 レイプされたの」
Q.え? 廊下の戸を閉めておかなかったんですか?
「少し酔っていて戸締りを忘れていたの。私ってチョット抜けてるみたい」
Q.そんなことは無いと思うけれど、迂闊でしたね。 それで相手の素性は分っているんですか?
「その時、今夜の証にと、お互いに扇を取り換えっこして別れたの。 でも私にはまた会える予感があったの。 女の勘かしら?」
Q.で、再会できたのですか?
「ええ。それから間もなく、右大臣家で藤の宴があったの。 その時、相手があの光る君の源氏様だと証の扇で判ったの。 そして源氏様も私が誰なのか判ったの。 勿論、またエッチしたわよ。熱く 燃えたわよ~うふふ。」
Q.禁断の恋ほど燃えるって言いますものね。 誰にもバレずに密会できたのですか?
「やはり宮中は狭い世界だし、口さがない女房たちによって噂は広まったわ。 姉にはもの凄く怒られて・・・。
姉は、私が皇太子妃になって皇子でも産めば実家の権力が増々強くなると算段していたの。 その思惑がダメになったのものだから、怒ったのね。
キズ物になったというけれど、私はそうは思わない。 好きな人とエッチして何がいけないの?
家に留めておいても仕方ないから、姉の計らいで、 私は御匣殿(みくしげどの=宮中で衣服の調達や縫製などを司った所)に参内することになったの。
二年後、皇太子さまが朱雀帝として即位なさったので、姉は私を尚侍(ないしのかみ)として任官させたの。 尚侍って内侍司(ないしのつかさ)の長官。 でも、尚侍になれば帝のお手付きになる可能性があるからね。 姉はあくまでもそこに期待したの。実際、帝から召されたわ。 でも私は、源氏様とのデートを続けたの。」
Q.何故そんなに源氏様がお好きなのですか?
「手や舌の動き、熱く柔らかな体の動き・・・二人は全然違うの。私は源氏様に抱かれていた時の方が夢中になれるの」
Q.源氏様には他にも通っている女性がいると聞いていますが。
「関係ないわ。正妻がいようと愛妾がいようと、私は源氏様を好き。ただそれだけでいいのよ。」
※【戦国時代の魔女の独り言…不倫の典型的なセリフですな。本人が純愛だと思えば不倫も純愛に昇華する。あな、おそろし。】
Q.そんなに逢瀬を愉しんでいたなら弘徽殿様はさぞお怒りになったでしょうね。
「姉は源氏様が帝を軽く見ているとして謀反の企みがあるのでは?という噂を宮中に流したの。でも証拠がないわ。
それよりもっと姉や父を怒らせたことがあったのよ」
Q.事件でも?
「そうなの。私が体調不良で宿下がりをしていても源氏様は通って来られた。ある夜、急な嵐になって源氏様は夜明けに帰れなくなって私の部屋で過ごしたの。
翌朝、父が私の身体を心配して私の部屋に突然入ってきたのね。私は慌てて几帳の中で身づくろいしたので足に源氏様の帯が絡みついたの。それを父が見とがめて,几帳の中の源氏様を発見して烈火の如く怒ったのよ。たまたま来ていた姉がその話を聞き、帝をナメている、謀反だ!と・・・」
Q.それでどうなったのですか?
「源氏様は罰として官位を剥奪されて、須磨に逃げたの。私は自宅謹慎6か月。三年経って源氏様が許されて帰京したあと、私たちは一度だけ逢瀬を愉しんだわ。
朱雀帝が譲位して上皇の院に移って、その後出家した後にね、一度だけね。それ以上は逢わなかったの。だって、私も上皇様の跡を追って出家して尼になったの」
※【戦国時代の魔女の独り言】・・・朧月夜の君は自由奔放。世間の常識に縛られるのが嫌い。歌を口ずさむときに貴人の女は声に出さないのが礼儀だけど彼女は声に出して詠ずるし、笑うときも声をたてて笑う。
精神より肉体の方が先に動き、好きなんだから仕方ないじゃんという一種の開き直り。怖いもの知らず、帝と源氏の両方とエッチできる肉体派。
最後は出家して尼になったことでキッチリ不倫の落し前をつけた。
この時代、男が犯してはいけないタブーがあった。それは尼になった人、母娘どちらかと契ったら、もう片方とはエッチできない。
これは光源氏の女性関係を知る上で重要なポイントです。
大河ドラマの「光る君へ」の中で、勉強もしない春宮(だったかな?)が母娘と契ったことを話していたけど、これには絶句しました。