17歳の光源氏は絶倫です。
高校の保健体育の授業で、「この年齢は一番性欲が強いので、近づいてくる男子高校生には充分注意するように。皆さんがたの魅力ではなく、性欲だけで近づくので勘違いしないように云々」と注意喚起されました。良妻賢母と才媛を目的とした教育方針の公立女子高だったので、先生がたはピリピリしていたのでしょうね。
さて、この頃の源氏が関係した女君は藤壺女御、六条の御息所、空蝉(うつせみ)、軒端の荻(のきばのおぎ)、夕顔です。
正妻の葵上の女房にも欄干ドンでエッチしているのですから、他にもワンショットラブの相手はいたことでしょうね。
「てへへ。だってボク、一本ハムファイターだもん」。
惟光(これみつ)は源氏の乳兄弟であり、源氏の秘書兼従者です。
五条に住む惟光の母が病気だというので、源氏は彼女を見舞うことにしました。
六条の御息所を訪ねるついでに寄ったのです。
その頃の五条は、町屋がゴミゴミと集まっていた所で、一般庶民の家々の仕切りは生垣だけですから道行く人を御簾(みす)の隙間から覗くことができます。現在のJR京都駅が七条ですから大体の位置は見当がつくことでしょう。(確か清水寺も五条だったような)。
源氏は、乳母の家の門が開くのを待っている間に、そうした町屋が珍しいので車の中から興味深そうに眺めていました。
すると、一軒の家に夕顔の白い花が趣き深く咲いているのを見つけました。
その家の右近という女房が、半蔀(はじとみ=上だけ開けられる戸板の窓)から眺めると、車の前すだれが揺れた隙間から若い公達の姿が見えました。
もしかしたら源氏かもしれないと思い、どうにか姫様と結びついてほしいものだと思いました。
というのは、この姫は父・三位(さんみ)の中将と母を相次いで亡くし、後ろ立てが無いのです。
おまけに、源氏の親友であり、正妻・葵の上の兄でもある頭中将(とうのちゅうじょう)の寵愛を受け、女の子までもうけましたが、頭中将の正妻に嫉妬されてひどい目に遭わされ、追っ手を逃れてあちこち点々と住居を変えていて、蓄えが底を尽きかけていたのです。(夕顔Ⅱに続く)