外交問題に引き込まれたTPP | 山田としお オフィシャルブログ Powered by Ameba

外交問題に引き込まれたTPP

 とうとう安倍総理は、TPP交渉参加を表明してしましました。

 これまでの長い取り組みは一体何だったのでしょう。真っ先に、「TPP参加の即時撤回を求める会」を組織し、民主党の菅総理や野田総理の前のめりの姿勢を徹底して批判してきました。この2年半に渡る総会の開催は47回に上ります。このほか、党の農林部会をはじめ、党の公約を作った外交・経済連携調査会、そのもとに設置されたTPP検討小委員会への出席、超党派の国民集会等の活動との連携を加えると優に100回は超えるでしょう。


 野党として民主党政権を攻撃しているのは簡単でしたが、総選挙で与党になり、まさか公約に違背する形で、時間をおかず一気に我々の手が届かない日米首脳会談で、一定の言質を獲ったとは言うものの共同声明を作り上げ、政府の専権事項であるとして交渉参加を決めていくとは、まったく想像していませんでした。「聖域なき関税撤廃を前提にしている限りは、交渉参加に反対する」と公約し、勝利して、与党になりました。もう少し配慮がある取り組みがあると思っていましたが、甘かったですし、うかつでした。


 日米首脳会談を控えた外交・経済連携調査会の設置と、そこでの「守り抜くべき国益」の決議も、そして日米首脳会談終了後のTPP対策委員会も、その真偽はともかく、伝えられるように総理や官邸の狙い通りに段取られたものとすると、それにきちんと気づいて対応できなかった自分が悔しい。振り返ってみて、アベノミクスに見られる圧倒的な安倍人気、隣国とのレーダー照射や原爆実験等の緊張関係からくる日米同盟強化の緊急性などに、TPPは引きずり込まれてしまいました。


 総理が自民党大会で、農業への熱い思いを披瀝し、それはそれで大事ですが、米国と日本が2大国として、世界のリーダーとして自由貿易のルールを作り上げると高揚して強調されたときには、重要5品目等を何としても守り抜く思いは、どこかに消えてしまっていると思わざるを得ませんでした。


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