統一選後半 大選挙区における市議選を考える | Making Our Democracy Work! 石井登志郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

統一選後半 大選挙区における市議選を考える

さて、12日の統一選前半(県議・政令市議)に続き、26日には後半(一般市議・区議)の選挙が行われる予定です。西宮では、定数が41に対して60名程度、芦屋では21名の定数に30名程度立候補を予定しているようです。東京の世田谷区や大田区などは、80名近い候補者が出るようですから、訳わかりません。(ちなみに、こうして一つの選挙区から10名以上を選ぶ選挙を大選挙区と呼びます。)個人的なつながりがない限りは、誰を選ぶか、わかるはずもないと言うのが普通の人の感覚でしょう。

昔は、地域のつながりがあり、それぞれの地方議員はその町内代表的な位置付けであったのでしょう。たくさん候補が出たとしても、それぞれが自分の町内を固めていれば当選できた時代であったとも言えます。4月6日のブログで、有権者は何を軸に投票行動を決めるのかとして、「属人型」「組織型」「地域型」「政党型」「政策型」「感情型」「タレント型」の7類型を提示しました。これらの中では、昔の大選挙区では「地域型」「属人型」が多く、それに加えて労働組合や業界団体の「組織型」が加わる、という構図でありました。地域型と言えば、自民党や保守系だけと言うわけでなく、社会党であっても地域の代表として選ばれることも、当然あったわけです。

こうした状況は、徐々に変化をしてきます。地域のつながりが希薄化してくるにつれて、居住する地域に縛られない、またそもそも政治家と属人的なつながりのない層が増えてきました。それに乗じて登場した、駅前などで演説をし、ビラを不特定多数に配る手法(いわゆる空中戦)を主体的に行う候補が出てきました。また、国政政党の看板を前面に出す候補も増えてきます。先ほどの7類型で言うと、「政党型」や「感情型」、もしくは「タレント型」で当選を目指す候補が増えてきました。典型的なのが、ほとんど社会人経験がない若者が、若さと勢いだけをウリに選挙に出るようなケースです。

さて、そんな中、最近の地方議会から流れるニュースの中は、地方議員のネガティブな要素を炙り出しました。政党やイメージ、もしくはタレント性を求めて投票してきた有権者は、特定の利益を求めているわけではありません。地方議員に何かを期待したいと思っていたのに、地方議会の信頼が損ねられ、政治全体への嫌悪感、忌避感につながっています。それがさらに投票率を押し下げていくという、悪循環にあります。

19日から始まる選挙は、そうした中で行われます。現行の公職選挙法では、選挙期間中に政策を記したビラを配ることもできず、政策を語るための戸別訪問も許されません。「政策型」で選んでもらおうとするには、ツールは限られています。出る方は必死ですが、候補者たちがむやみに熱意だけの押し売りをされると、有権者はさらに冷めてしまうかもしれません。みんなの税金を使って、大切な代弁者である議員を選ぶこのプロセスのあり方を、じっくり検証し、改善の方向性を見極める一週間にしたいと思います。