今日も人混みの街をゆく。

誰かと肩がぶつかって、後ろから舌打ちが聞こえる。

一瞬世界がとまって、白くかすんで、

切なさがさっと満ちてくる。

 

誰もが痛みをを抱えて生きているのに分かり合えない。

きっと皆、似ている貴方なんだよ、

でもすれ違う。

 

突然ぶつけられる怒りや憎しみに唖然とする。

理解不能なバケモノのような気がして凍りつく。

でもどうだろう?

アノ人からしたら、

アナタもバケモノなのかもしれないよ。

 

世界はずっとこんなふうに回っていて、

これからもずっと同じなのかもしれないよ。

だから「その先」に用がある。

 

よく分かってる。

貴方が他の人より美しくて優れていることは。

もう分かったよ。

誰かが貴方を傷つけて、奪おうとしたこと。

貴方のことはもう皆よく知っているんだよ、本当は。

 

だから「その先」に用がある。

だから「その先」で話をしよう。

 

詩人・茨木のり子さんの作品に

「自分の感受性くらい」という詩があります。

 

己の<ぱさぱさに乾いていく心>

他人のせいにし、時代のせいにして、

傷つけあっている我々にダイレクトに届いてくる詩です。

そんな茨木さんが選りすぐった詩を集めた、

名著中の名著がこの本です。

ジュニア新書なのでお子様向けに...という体裁ですが、

収められている作品の濃さやそれらの渋みは完全に大人のためのもの。

 

この世界には人の数だけ痛みや悲しみ(もちろん喜びも)があって、

それらを小さな結晶のように

我々に示してくれる存在が<詩>ではないでしょうか。

 

その<結晶>たちを通して自分の心を読み、

周囲の人間の心を読む力が

我々には、何より必要なのかもしれません。

 

比べあうこと、奪い合うこと、傷つけあうこと。

その痛みや悲しみを我々は十分に知っているはずです。

だからそろそろ「その先」で待ち合わせしませんか。

「その先」で話をしましょう。

 

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