ついに研究遍歴2桁へ突入!

まだ半分ですがここまで書いてしまったので、なるべくコンパクトにしつつ最後まで書き切ろうと思います。
ここまで読んでくださっている方に感謝しつつ続けます。


前回の遍歴9の声帯ストレッチを完成させた15年くらい前に、今の僕のボイストレーニングのスタイルが出来上がったような気がします。
しかし、その後も色々なボイストレーニングの要素に対して疑問が出てきて、以前に読んだ発声学書などを読み返したり、再度分析して今の知識と感覚で再検証、再解釈したりを繰り返してその後も進んでいきました。

 

さらに人体学的な方向にも研究を進めようと、耳鼻咽喉科関係の医学書などを買うようになったのもこの頃から。

 

そして、ボディーワークに関しても、それまで触れてこなかった「ロルフィング」というワークを知って受けてみたり、鍼灸師やカイロプラクターなどの整体系の施術者との交流が始まったのもこの頃。

 

それらの知識を少しずつ繋げていって、また進化した発声感覚と、その上にできあがった発声理論に照らして、また再検証、再解釈を繰り返していきました。

まずは
「腹式呼吸と腹式発声」

また、その次に再検証、再解釈をしたのが、やはり
「声の共鳴法」
 

以前の遍歴にも書いましたが、それらの課題に各々執心しきって練習していた時期がありましたが、一旦は自分なりの解釈として、発声や歌にとって重要な要素ではあるけれど、発声の秘密というほどの事ではないと結論付き、そこをボイストレーニングの中心にはするべきではないと考えていました。

 

それまでの2つの要素の結論を個別に簡単にまとめると

 

「腹式呼吸と腹式発声」はあまり重要視しすぎると、特にポップス歌唱の上達を求める受講生には良い結果が出しにくくなる側面を強く感じ、双刃の剣となり危険。


「声の共鳴法」に関しては、うまく作用する時もあるが、体に力が入ていると、うまく作用しない。力を入れずに発声や歌唱ができる、運動のメカニズムを解読しないと、万人に有効にはならない。片手落ち。
 

というところで、一旦こだわるのをやめ、身体学や声帯の使い方などの他の研究が移っていったという経緯がありました。

 

その後、これまでの研究遍歴でも出てきますが、声帯の使い方まで研究が入りんだ事でより発声の全貌が見えてきて、今回の遍歴10の頃には、解剖学的な方向からもとらえられるようになり、喉の位置関係と発声のバランスなども見えてきました。

そのせいで、腹式呼吸(腹式発声)や共鳴コントロールの特徴と重要性も、改めて別な角度からも見えてきて、新しい発見とともに、腹式発生へのこだわりが再燃したり、
共鳴コントロールは声帯コントロールと対になっていないと意味をなさない、という事もわかってきました。

 

そこでまた、身体学や声帯を中心にした解剖学へと研究課題が戻って、、のように
大雑把に言うと、
腹式呼吸→共鳴法→声帯操作→身体学→腹式呼吸→共鳴法→声帯操作→身体学→…
と何度も何度もグルグルと課題を移しながら5年から10年過ぎていきました。


ここで言いたいのは、発声というのは、一旦わかったと思っても、まだまだ見えていないことが沢山あり、
逆に複雑だと思って少しずつ紐解いてみると、至ってシンプルな理屈だったり、本当に奥の深いものです。

少しでも進んだ新しいレッスンを開発したければ、全てを一人で発見しようとせずに、プライドを捨てて先駆者の考えに耳を傾けてから、考えていくという事もかなり必要だと思います。
でなければ、一人の人生の自分だけの考えでは、気がつける事が限られてしまう。


若い研究者は、何かコツを一つ発見すると、自分だけが最大の秘密を手に入れたように思い上がってしまいがち。

僕も研究を始めた最初の10年間は、そんなことが何度もありました。
しかし、うまくいかない事が出てきて挫折し、また多くの師を尋ねては教えてもらいました。

今考えると講師を初めたばかりの数年は、思い込みの強い未熟な講師だったと思います。
それでも当時としてボイストレーニングの研究者は少なく、自分はそれなりに最先端のレッスンをしていたということが一つの救いではありました。

今はボイストレーニングが一般的な事となり、研究者も多く、いろいろな情報があふれているので、真実は何なのかをしっかりと検証し、すぐにわかった気にならずに、謙虚に進んでいかないと、ちゃんと人の力になれるボイストレーナーにはなれないと思います。


また、発声が理解できている事と、
それを利用して他の人を指導できる事、
の間にも歴然とした壁があります。

自分はわかっているはずなのに、満足いくところまでレッスンでこの生徒を引き上げてあげられない…などの事も何度かあり、それが課題となって、研究はその後も多岐に及びます。

 

姿勢や筋バランスが基本的に悪い人
心理的ブロックのある人

イメージの方向性が音楽的ではない人
喉の癖、話し方の癖に問題がある人

など、

それらのレッスンする前の個人差が、
研究遍歴9で開発したストレッチによって、かなりの確率で埋める事ができるようにはなりましたが、まだ拾えない人もいて、改善できないパターンを一つずつ解読し対策を作っていく事が、その後の研究課題となりました。

 

それらの助けになったのが、心理学やイメージ操作と、
やはり解剖学や、整体系の施術、ボディーワーク、人体学の研究でした。

 

その辺りはまた次回へ。

 

今回もマニアックな内容で長くなってしまいましたが、

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!!