僕は中山競馬場の近くに住んでいる

自転車で十分いける距離だ

だから中山競馬の開催によって

うちの近くの交通事情は変わってくる


話はちと変わって

競馬界で最も有名な人物

それは僕の生きてきた時代では



「 武 豊 」

で間違いないだろう。


中高生のころ

強烈な天邪鬼だった僕は

皆が認めているものを

認めたくなかった

特に理由もなく・・・

実に小さい器


当然意味もよくわからず

テレビで流れる競馬中継を視ては

武負けろと願っていた・・・

どんだけ心が捻じ曲がってたのだろう


もう少し大きくなって少し素直になって

刺激を求めていた僕は

折角近いのだから

少し競馬を始めてみることにした。


そして生まれて初めて

武のレースをこの目でみることになる

確か10年近く前

G1朝日杯3歳ステークス

何番人気だったか

マチカネホクシンという馬に騎乗していた


スタートと同時に一頭出遅れていた

武だった

周囲の競馬ファンが

「武、恐えー」とざわめく

出遅れではなく、わざとだった

つまり力を蓄え最後の直線で

追い込む作戦


最後の直線、最後方大外より

追い込むマチカネホクシンに

僕の胸は動かされた。

結果は3着だった。

それでも僕は知ってしまった

競馬の楽しみ方を

そして

武のレースに夢中になる


その年のスペシャルウィーク対グラスワンダー


京王杯のスティンガー


先行馬トゥザビクトリーで

エリザベス女王杯で差しきり

有馬記念で逃げる

↓周りのジョッキーが驚いてます




菊花賞でのエアシャカールの手綱さばき

↓この子は右によれちゃうから、右ラチ沿いで勝負




ステイゴールドに悲願を


すっかり魅了されてしまった


常に勝利を期待されるプレッシャーを受け

勝利のペースを知るがために皆にマークされる

何頭もの騎乗依頼を断わらなければならない苦悩

そんな印象が素人の僕へも伝わってくる

それでも

彼は大胆な騎乗をしてくれた

あるレースでは大逃げ

あるレースでは後方一気

海外挑戦

攻めの姿勢がかっこよかった


そんな武も40に近づいていた

僕も馬券は全然買わなくなったが

タイミングさえ合えば競馬中継をみていた

そうちょうどF1レースをみるように

武に魅了されるために


しかしここ何年かはおかしかった

勝ち星こそダントツだが

ここぞという時の勝負強さが感じられない

一見大胆な騎乗もみられるが

無理しているようにもみえる

あの確信しているかのような

攻めの騎乗がみられない


何が変わったのか

勿論トーシロの僕にはわからない

ただこの二人の影響は大きいのでは

地方より来た二人のジョッキー

アンカツと岩田だ

職人アンカツと天性の才を持つ岩田

この二人の登場から

武に余裕がない気がする


何度この二人に勝負どころをもっていかれ

お手馬をもっていかれたか

馬の行く末を考えた騎乗をする感のある武に対して

二人は常に勝負を重視、ハングリーな感がある

今年も特に大舞台での取りこぼしが目に付いた


でも

今日のG1天皇賞(秋)で

久々に一矢報いたのでは


ダービー牝馬ウォッカをお手馬にしてから

一度も勝てないでいた

安田記念では代打の岩田に圧勝もさせられた

人気馬が次々乗り換えで回ってくる

妬み、責任、恨み・・・
今年はG1どころか重賞全般で勝ちきれない


今回も内枠有利とされる府中2000で

外枠14番スタート

しかし久しぶりにぶれない武を見た気がした

迷わず先行し好位をキープ

逃げるアンカツのダイワスカーレット

目の前にダービー馬ディープスカイ

を置きながら周回


好位のまま府中の直線勝負へ

各騎手が手綱をしごき始めるなか

まだ我慢

そして勝負!



最後はアンカツと首の上げ下げの勝負に

テレビのVTRでは体制不利かとも思えたが



長い写真判定の末2cm差で勝利

ゴール前では思わずテレビの前で

声を上げてしまった


決着後の様子をみるだけで

武の喜びが伝わってきた




武さん、まだまだこの素人を楽しませてください


それにしてもアンカツは凄い

ダイワスカーレットが最後に差し返したのが話題だが

直線入口で振り返り他馬との距離を計るアンカツが恐かった


今回はウォッカのやりやすい土俵、それで2cm

一体他のレースで勝ち目はあるのだろうか


しかもJCはどうすんだろ

サムソンとウォッカ・・・


あー長かった