僕のパスケースには


2枚のお札がしまってある




一つは父に最後にもらったお小遣いの2千円札




もう一つは祖父母の中で一人だけ健在だった


母方の祖父が突然くれた一万円札




人には特に明かさないが


どちらも自分の中ではお守りのような存在で


実際いつも僕の窮地を救ってくれてきた




昨日その祖父が他界した


長野の老人ホームにいた祖父には


今年2回会うことができた(8月15日
の記)




体は弱ってきていたが


とても強い意思が感じられた


まったく実感が湧かない


だから今は悲しくない




母は大丈夫だろうか


少し気になる




いくつか思い出があるが


本当に交流できるようになったのは


ここ数年だろうか




最後にじいちゃんが入った施設では


当然なのかもしれないが


色々規制があった


確かお酒の好きだったじいちゃんも


禁酒させられていた




勝手に不憫に思った僕は


近所の酒屋で高めの日本酒を買い


じいちゃんの部屋に隠し持っていったことがあった




母や兄、親族もいたが


僕だからか,同じ思いだったのか


誰も止めようとはしなかった




プラスチックの御猪口を


差し出すとじいちゃんは


当たり前のように構えた


ならず者の孫に酌をされると


迷い無く口に運ぶ




一言


「辛ーなー」




やっぱり、かっけー


俺のじいちゃん




8月15日


水戸黄門が始まる少し前




「食べなれてないから、すきじゃねえ」


「お前これ食べろ」


といって渡された




ヨーグルトの味が甦る