BenFiddich店主の鹿山です。
行きたかったBARがある。
若い時から色々なウィスキー通の方から
『鹿山君、絶対行った方が良いよ』
と言われたBARがある。
BARの名前は『サイレンスバー』
場所は香川県.丸亀市にある。
丸亀駅の繁華街から外れて歩いておおよそ15分。
海が見え、船が並ぶ埠頭に到着する。
船の灯りが街灯のようになっている
そこにポツンと佇むのがサイレンスバー。
お世辞にも導線や立地を考えたら『何でこんな場所にBARを作ってしまったの??』
と言ってしまいたくなるが、創業37年の老舗であるし東京、大阪、はたまた全国からモルトウィスキー通が集まる一大聖地となっているのだ。
昔の船の積荷の倉庫を改装
L字のカウンターが美しい
ここが本当にすごいのは
丸岡氏が若かりし頃から集めに集めたコレクションが数千本。
『お酒は飲む為にある』という事から惜し気もなく貴重なお酒達を開栓してくれる。
飲んだ数々の歴史が詰まる古酒達
長年、古酒を多く取り揃えるBARとして全国に名を轟かせていると『買い取って欲しい』との相談も舞い込んでくるそうで、京都のとある公家の血統の方から1930年代後期であろうサントリーの角瓶を蔵から出てきたので買い取って欲しいとの連絡もきたそう。
戦前の初期の『サントリー角瓶』はブレンデッドではないので中身は山崎蒸留所の原酒のみ。
つまりは『1930年代山崎ウィスキー』となる博物館級のウィスキーである。歴史を飲ませてもらいました。
マスターの丸岡氏は17歳で東京に出てキャバレーのボーイから始まり、銀座の老舗『ボルドー』や
今でも存在している銀座の『ルパン』などでバーテンダーとしてのキャリアを積み、大阪へ移りその後、生まれ故郷の丸亀で1987年に創業。
現在は70歳代中盤にも関わらずマスターはとても元気だ。毎日ハイボールを飲んでいるそう。
僕と話してる時もがんがんタリスカーソーダを飲んでいた。とても気さくでマスターの若かりし頃の銀座時代の僕の知らないお話しなどとても楽しい。
香川県丸亀市の中心街から外れた埠頭にあるBAR。
そこに全国から人が集まる。
例えば東京からなら一泊を覚悟でないと辿り着けないBAR。それでも人はここに集まる。
マスターの気さくな喋り
どこにも置いてないようなウィスキー達
埠頭にありそこに辿り着くまでのワクワク感
たぶん全てが絶妙なバランスで
そのバランスも長年培ってきたものだろうと感じる。老舗の空間。とても勉強になりました。
丸岡マスターと息子の丸岡さん。
親子でバーテンダー。素敵でした。