昨日、すご〜〜〜〜く久しぶりに砧公園に走りに行ったら、世田谷美術館の前を通った時に「デザインする手、編集長の眼」というポスターが眼に飛び込んできた。編集の仕事をしながらも、恥ずかしながら、「花森安治」さんを知らなかった。とにかく、昨日見たかったけどお金を持たずに出たから見れず、開催が4月9日までだから今日は朝イチで観に行ってきた。

いや〜〜〜〜〜〜〜〜、参った。とにかく、参った。すごすぎて.......

圧倒されっぱなしで、気づけば2時間隅から隅まで見まくった。花森さんは、今も多くの人から愛され続けている雑誌「暮らしの手帖」を作った人。

NHKの「とと姉ちゃん」のモデルになってたんや〜....ポーン と、帰ってから本を見てびっくり。

っていうのか、編集やデザインに携わる者にとって、たまらない美術展なのにやたらと普通の人達がたくさん来て、みんな熱心に見ているのはなんでやろう????と思っていたけど、今、納得!うちはテレビを全く見ないから知らなかった〜。とと姉ちゃんのDVD借りてこようビックリマーク

 

花森さんの仕事、何が素晴らしいかと言えば、とにかくストイック!ストイック過ぎる程にストイック。この人はいったい、どんな風に時間を使っていたんだろう....編集の仕事って、とにかく忙しい。それなのに、丁寧すぎる程に、掲載する内容を徹底的に検証し、実験し、比較検討し、デザインし、しかも表紙や、中身の挿絵まで花森さんが描いている。全てが手描きの時代に、どうやって時間を使っていたんだろう.....とにかく何もかもが丁寧。ひとつひとつが計算され尽くされている。仕事って、本来はこういうもんだなあ....とつくづく考えさせられた。何よりも、最後の最後まで情熱がハンパない。妥協することは何一つとして許さなかったんだろうな。自分に対しても、人に対しても。というのが伺える。

 

「暮らしの手帖」と言えば、私が子どもの頃からずっと母が愛読していた。なんだかババくさい雑誌だな〜と子どもの頃は思っていた。でも、大人になってからその素晴らしさがよく分かる。特に編集の仕事を始めてから、その内容の素晴らしさ、守り続けているこだわり、何もかもに感動する。

 

表紙の「暮らしの手帖」のロゴが全て手描きで、基本は崩れてないけど少しずつ違うところがまたたまらない。微妙な違いだけど、この違いって大きい。今の時代だったらロゴはコピペで使い回しなのでそんなことは絶対にあり得ない。なんだか、手描きならではの温かみ。

 

とにかく「暮らし」に特化しているので、様々なことを検証している。例えば、どのトースターがいいのかオススメをするために、各メーカー33台のトースターを使って検証。焼いたパンの数は、4万3千88枚..... 何もかもこの規模で検証をしている。

今は、ネットでよく調べもしないで適当に書かれた記事が多い。それに比べて、この検証っぷりはとにかくハンパない。

 

心に残った言葉が

 

「いつから ぼくらは 物のいのちを その命をおしむことを 

忘れたのだろう いつから物をいのちのないものとして 

みるようになったのだろう」

 

暮らしの手帖にのっている物を見ていると、この言葉が心に刺さる。

「欲しがりません、勝つまでは」の時代を生きてきた人たちは

ひとつひとつの物を大切に生きてきたんだろうと思う。

今はどうかな...100均ができて、安いものがはびこって

使い捨ての時代になってしまった。

色々なことを考えさせられた。これから、一生大切にしたいと思うものをしっかりと選んで買物しようと、改めて心に誓った。

 

まさに、「暮らしの手帖」を作ることは闘いだっただろうと思う。時代に斬り込み、自分の人生をかけて、正しいと思うことを貫く。カッコイイ。

きっと、世の中の人に色々なことを言われたこともあるんじゃないかということも、充分に予測できる。でも、そんなことも関係なく信念を貫き通した男気、それを信じて支えた素晴らしい家族やスタッフが沢山いたんだろう。花森さんの制作現場まで頭に浮かんでくる。

 

私と言えば、ここ最近...編集の仕事に対して、色々と考えることがあって自分でも行き詰まりを感じたり、限界を感じたり、楽しいと感じられなくなったりしていた。いやいや違う。狭い世界で、自分が努力するのをサボって、壁にぶつかりしんどくなっていただけなんだな〜と思った。

表現者でいることは、誰かに気を使うことではない。誰かにどう見られているとかじゃなくて、もっともっと信念を貫き通せるような、分からないならとことん調べて、調べて、納得いくまでつきつめる。そんな爆発的な情熱的を持って仕事をするべきなんだなと思った。

 

フリーランスの良いところ。納得するまで仕事ができること。会社で働いていた時に、「そんなことまでせんでええよ。」とよく言われた。いつも「なんで?」と思っていた。やりたいんやったら家で勝手にやって。仕事としてやらんといて。ってこと。会社ってケチやなあ〜。そんなんでいいものできるんかな〜とずっと思ってた。でも、フリーランスになれば、誰にも何も言われないからどこまでもできる。私は自由なんやった!忘れてた!

色々なことに縛られて忘れてたな....

もっと、もっと挑戦しよう。もっともっと深い世界に入っていこう。

 

久しぶりの美術館、最高やった〜♡

66歳で幕を閉じた花森さん。大切なことをいっぱい教えてくれてありがとうございます。

花森さんの本楽しみ〜♪

 

なんか知らんけど、心が燃えるわメラメラメラメラメラメラ