シリーズものです。
最初から順番にお読みください。

第1話:生命①
第2話:生命②
第3話:生命③
第4話:生命④



入院しても、妻の容体は変わりありませんでした。
それどころか、より悪化の一途をたどっているようでした。
腹痛の間隔は短くなり、だんだんと強くなっているようです。

時計を見ると日付は変わって8月22日になっていました。
ベッドの上で悶え、だからと言ってジッとしていることもできずに病室内を歩き回る。
どんな姿勢でいると楽なのか、妻自身も分からないようで、とにかくしきりに姿勢を変えていました。
途中から妻の母が駆けつけてくれました。
妻の母と僕が付きっきりで看病しますが、一向に症状はよくなりません。
そうこうしているうちに夜が明けてしまいました。

「カタツムリ…痛いよぉ…」

「そうだよね、痛いよね」


幾度となく繰り返された会話です。
いつも明るくユーモアあふれる妻が、今日ばかりは弱々しく見えました。
そして、時はまもなく昼の12時を迎えようとする頃…

「カタツムリ…私、もうダメ……」



続く…

P.S. 次回で最終回になる予定です。