私が現在定期的にレッスンを受けているピアニスト

エフゲニー・ザラフィアンツ EVGENY ZARAFIANTS




テクニックと表現力と芸術性を兼ね備えた現代最高のピアニストの一人。私が初めてザラフィアンツ氏のピアノを聴いたのは20年以上前になります。色彩豊かな美しい音と大胆な表現力にすっかり大ファンになってしまいました。

少しプロフィールを紹介しておくと、氏は1959年ロシアのノヴォシビルスク生まれ。1975年モスクワのグネーシン音楽学校に進むが、ほんの出来心でブレジネフの肖像に落書きをしたことから追放され、オルスクに移る。1979年オルスク音楽院を首席で卒業。そのグリンカ音楽院でイリヤ・フリートマンに師事。1985年全ロシアコンクールで3位、その他ラフマニノフ・コンクールにも入賞。1993年ポゴレリッチ・コンクールで2位に輝いたのを機にクロアチアヘ移り、ミルコヴィッチ音楽院の教授、そしてザグレブ音楽院でも後進の指導にあたる一方、特に日本を中心に幅広い演奏活動、そして愛知芸大の客員教授も努められました。

ザラフィアンツ氏はロシアにいた時には本当に苦労されたようで、これほどすばらしいピアニストであるにもかかわらず、ポゴレリッチ・コンクールで賞を取るまではほとんど表にでるような活動はさせてもらえなかったというふうに聞きました。

アメリカのパサディナで行われたポゴレリッチ・コンクールでチャンスを掴み、やっとその素晴らしい音楽はみなの知るところとなりました。そして活動の幅を広げ、日本でも多くのファンを獲得しました。
波乱万丈な経歴の持ち主で、そのような経験が音楽にもよりいっそう深みを加えているのだろうと私は思います。

とにかくもうずいぶん昔のことですが、京都で氏のマネージャーをしていた方のご紹介で知り合いになることができ、その時以来、できるだけ個人レッスンやセミナーを受けたり、公開レッスンを聴いたりして勉強させていただいています。大変日本びいきな方で日本語は堪能。日本のお寺や庭園などもお好きなので私も竜安寺などに御一緒したことがありますが、あの石庭が大好きで、来日して京都に来るチャンスがある時はできるだけ訪れるのだとおっしゃっていました。日本の「わびさび」の感覚を大変わかっておられる方で日本的なものがお好きで、和食も大好きな方です。

日本ではこの3月まで愛知県立芸術大学の客員教授として4年間に日本に住んでおられました。 日本での外国人の教授の任期は4年までと決まっているため、現在は任期を終えられクロアチアに帰国されていますが、昨年の10月から11月にかけてコンサートやレッスンのため、再び日本に来られていました。 大学の任期は終わられても師事したいという生徒が途切れる事なくいるために、日本への移住も考えられているほどだとの事で、ますますご活躍されることと思います。 全国各地ですばらしいコンサートや公開レッスンも開いておられるのでぜひ多くの方に聴いてもらいたいと思います。一度聴けばザラフィアンツ先生の作り出す音楽の素晴らしさがわかっていただけることでしょう。