京都で先生のレクチャーコンサートがあり、11月2日京都のゲーテインスティトュートに行ってきた。

 

 

1部は先生による美しい音の出し方についてのレクチャー、2部はコンサートという充実した内容だった。

 

 しかもレクチャーはすべて先生自身が日本語で話してくださった。 いつもレッスンを受けても思うことだが、通訳を通して聞くのと、直接日本語で話してくださるのでは、やはり伝わり方が全然違うと思う。  しかも表現が的確でわかりやすい。でもご本人はあれだけの見事な日本語を、お忙しい中、30代半ばから身につけられたと思うと、頭が下がる思いがする。 他にも先生は6ヶ国語ぐらいお話になれるというから本当に音楽以外でもすごい博識の方なのである。

 

レクチャーは出すべき音と控え目にする音を弾き分ける事の大事さ、 フォルテを出すときもただおおきく出せば良いというのでなく「時間をかけて」フォルテを出す、というのが大事だと言われて、弾いて見せてくださった。 あと、興味深かったのは19世紀から20世紀初め頃、左と右を微妙にずらして演奏する、というのが流行った時代が会った、という事。 現代はあまりしなくなったが、少しずらすことにより、人間の声の様な、または弦楽器の様な長い美しい響きが得られるとおっしゃっていた。 現代ではあまりしないほうが良いとされているが、やりすぎない程度にすることは悪くない、ともおっしゃっていた。  そういえばコルトーやその他古い時代のピアニストはそのような弾き方をしてるなあ、と思いながら聞いていた。 (私はわりとそういうのは好きな方だ。 ロマンチックだし・・・)

 

2部のコンサートも素晴らしかった。  ベートーヴェンの「悲愴」はすごく個性的な演奏。 おそらくこの人以外には出来ないだろうと思った。

でも納得させられる演奏でさすがザラフィアンツ先生だと感動した。 ショパンの3曲も繊細でありながら驚くほど迫力もあり見事だった。

 

愛知芸大の客員教授は終えられたが、これからも日本を拠点にされていかれるという事で、そうなれば若い人たちにもっと先生の音楽を学ぶ機会も増えるだろうし、ぜひ実現して欲しいと思っている。