161-衆-厚生労働委員会-5号 平成16年11月05日

○泉(健)委員 実は今、児童相談所が大変多忙な業務を抱えていられるのではないのかな。私も幾つも児童相談所を回らせていただきましたが、我々は大体切り口としては、これまで、この数年間は、やはり児童虐待という観点で児童相談所に訪問をするわけですね。しかし、そこには、当たり前のことですが、養護相談もある、保健相談もある、非行相談や育成相談もある。大変さまざまな、たくさんの業務を担っていられる。それで、やはり、実情を聞いてみたら、虐待担当は二人だったり三人だったり、所長が兼任をしていたり、大変厳しい状況で各児童相談所が行っているという状況がございます。
 児童虐待防止法が今こうして改正をされたという中で、児童虐待のウエートが児童相談所の中で随分と大きくなってきているわけです。電話一つとっても、二十四時間のサポートも含めて、今、この児童虐待の問題で児童相談所は本当にごった返しているという状況です。
 そういう中で、これまで児童相談所そのものには、今言ったような幾つもの相談の項目があったわけですけれども、例えば、今もう一方で、この国会では、議員立法で発達障害者支援法というのが審議をされることになっていますね。そうしますと、この発達障害に関してもさまざま相談に乗っていこう、そして発達障害支援センターというところでは、相談に乗り、また判定をし、そして自立を促していくためのプログラムというものも行っていこうという話になっているわけです。
 しかし、現段階の児童相談所における相談の種類及び主な内容というところを見ますと、例えば自閉症相談というのが入っています。あるいは性格行動相談というのが入っている。適性相談、言語発達障害等相談というものが入っております。
 ここら辺の仕切りについて、例えば、今回発達障害者支援法ができるということであって、そしてまた支援センターが各地に配置をされているということから考えると、今後、この児童相談所の業務をこういったところに移していく、そして児童相談所の業務を虐待の方に重点化をしていくというおつもりがあるのかどうか、これについてお伺いをしたいと思います。

○尾辻国務大臣 まず、大きくお答えをいたしたいと思います。
 今私どもが考えておりますのは、市町村の福祉事務所が大体最前線に立っていただいておるわけでありますが、福祉事務所がまず対応していただく。いわば一次医療みたいなものかなと思っております。そして、それから深刻な事態が生じておるケースについて児童相談所が扱う。ですから、今の例えで言うと二次医療を引き受けてもらう。こういう大きな役割の中でこの仕組みを考えたいと思っておるところでございます。
 そこまで、大きくはお答えできるんですが、その先の細かな、具体的な話になりましたら、よろしければ局長にでも答えさせますけれども、答えさせた方がよろしいでしょうか。

○衛藤副大臣 児童相談所では、先生御指摘のとおり、児童にかかわる自閉症、それから知的障害、発達障害、また生活のいろいろな問題等について相談にあずかっているところでございますけれども、虐待につきましてずっとふえておりますので、児童相談所を全部虐待専門にということではなくて、専門員を補強するということを明確に考えているところでございます。それが今回の体制整備の主たる問題だというように認識をいたしております。

○泉(健)委員 いや、そこの部分は非常にありがたい、評価をできるお話だと思うんですが、実は、我々が回った児童相談所どこもそうなんですが、もう机自身もいっぱい、あるいは施設が大変狭いというところがたくさんあるんですね。そういう中で、では、総定員を本当にふやしたいということで予算をつけても、ふやせるかという問題が一方であるわけです。ふやせないところというのもたくさんあるんですね。
 そういうところから考えると、もちろん私は、今こうした虐待問題というのがクローズアップされていますので、あるいは以前であれば、非行の子供たちの相談というのが非常に多かった時代もあったと思うんです。そういう、要は、時代に対応して児童相談所というところが柔軟に組織がえをできるような状況になっていけないのかなというふうに思うわけです。
 今回、例えばその一つの例として発達障害支援センターができるという中で、こういった自閉症関係の子供たちが親とともに相談に行けるような、これは箇所によりますけれども、そういったところもふえてくるということで、例えば、そういう地域においては、そういった相談業務をこちら側に移すという考え方もあっていいと思うんですね。
 要は、その辺の柔軟性を持たせていただければ、あとは地方で何とでもなる話でして、そこはぜひ国の方が、柔軟にやってもいいというようなお話を地方に対してしていただきたいというふうに思うわけです。
 その辺は、例えばほかの問題でいっても、皆さん意外に思われるかもしれませんが、鑑別所、あれは何だか、例えば非行、問題行動を起こした子供たちが行くところだと思っているかもしれませんが、鑑別所によっては、地域に窓口を開いて、子供たちの鑑別をしますよと。鑑別という言葉はもともと何も悪い言葉ではなくして、教育的に、例えばその能力を判断しますよということもできる機能を持っていられるんですね。
 例えばそういう機関もあるという中で、児童相談所がすべてここに盛り込んでいるのは、窓口としては非常に広くていいことではあるけれども、相談所業務としては今いっぱいいっぱいになっているという現状の中で、そういったいろいろな相談業務の切り離しというものも今後御検討いただけるかということについて、いかがでしょうか。

○尾辻国務大臣 今のお話を伺いながら思いまして、確かにそういう状況にあるだろうと思います。
 そこで、例えば、保育所の中にも地域子育て支援センターもお願いしております。こういう事態でありますから、もうそうしたものをすべて、今の先生のお言葉をかりると、柔軟に連携してもらって事に当たらないと大変な事態だと思いますから、ぜひそういうことを考えて、また必要な指示はさせていただきたい、こういうふうに思います。

○泉(健)委員 本当に大臣の御答弁というのは、私以外の質問のときにも非常に明確で、必ず私の責任で指示をします、私が行いますと。本当に、そういったお言葉をいただけるというのは非常に勇気が出ます。それをしていただけるというふうにももちろん信じて、これからまた質問させていただくわけです。
 もちろん、私たちは、第一義的には、この児童相談所そのものも、また大変古い施設も多いわけですから、その改修にも手を伸ばしていただきたいですし、そういう中で、職員がたくさん入っていけるような環境もつくっていただきたいというふうに思っているわけです。もしそれができないのであれば、とにかく児童相談所がパンクしないようにという心がけを持っていただきたいというふうに思います。